採用マーケティングとは
採用マーケティングとは、マーケティングの考え方やフレームワークを採用活動に当てはめることで、採用活動の解像度を高め、自社にとってターゲットになる優秀な人材を獲得していくことだという。
マーケティング戦略と採用戦略は、いずれも「STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)」からスタートする。STPを行った後、マーケティング戦略ではどんな製品を、どんな価格で、どのようにプロモーションし、どう流通させるのかを決めていくのに対して、採用戦略では実行戦略へと進む。

「実行戦略においては、『認知→興味→応募→選考→内定承諾』という流れの中で、いかに途中での滞留や離脱を防ぐか、それぞれで打つべき施策を考えていきます」(草深氏)

STPのSであるセグメンテーションとは、市場を細分化してグループ分けすること。採用マーケティングにおいては、学生の属性、エリア、志向性、経験・スキルなどを軸にグループ分けを行っていく。

STPのTであるターゲティングとは、自社の狙いを絞ること。学生に求める要件を正確に絞り込めているかどうかが、採用成果に大きく影響する。

STPのPであるポジショニングとは、ターゲットとする学生にどう魅力付けして競合企業に勝っていくかを決めること。魅力を訴求するためのメッセージ設計とも言い換えられる。

「メッセージ設計のポイントは、競合の強み、学生のニーズ、自社の強みの関係性を整理することです。いわゆる3C分析です。学生のニーズを満たす自社独自の強みをいかに伝えていくかがカギとなってきます」(草深氏)

3C分析は、学生のニーズを把握することから始まる。代表的な方法としては「マスアンケート」と「デプスインタビュー」がある。マスアンケートはターゲットに対する定量調査で、世の中に出ている学生アンケートのデータを活用したり、アンケート調査業者に依頼したりする。デプスインタビューは1対1のインタビュー形式で行う定性調査で、内定者へのヒアリングやフォロー面談でのヒアリングなどを通じて行う。
次に行うのが、競合と異なる自社の強みを整理することだ。その際には「4P分析が便利である」と草深氏は推奨した。4P分析では企業の魅力因子を、Philosophy(企業目標の魅力)、Profession(活動の魅力)、People(人材の魅力)、Privilege(条件の魅力)という4つに分類して洗い出していく。そのためには経営陣や社員へのインタビューが有効なほか、内定者へのインタビューが候補者目線での意見をもらえる点で特に役立つ。
