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HRzineニュース

会社独自の介護支援制度について、約6割が「制度が存在しない・有無が分からない」と回答—OKAN調べ

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 OKANは、5年以内に介護を理由に正社員からの「望まない転職」を経験した会社員を対象に、「介護による『望まない転職』に関する調査」を行った。

介護を理由とした「望まない転職」について

 介護を理由とした転職を決断した理由として、最も多かったのは「休暇が取得しづらいこと」で26.8%、次いで「柔軟な働き方が選択できないこと」が23.3%と続いた。この2つの理由だけで全体の約半数を占めており、介護と仕事の両立において、時間的な融通や働き方の柔軟性が重要であることが示されている。

 また、正社員からの転職「後」の雇用形態を聞いたところ、正社員(同じ職種または異なる職種) を選択した割合は合計で86.7%。一方で、非正規雇用(パートタイム・アルバイト、契約社員、派遣社員)を選択した割合も合計で10.1%存在した。この結果から、介護による転職の多くは正社員としての就労を継続しているものの、一部は雇用形態の変更を余儀なくされていることが分かる。

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 なお、介護離職に至った理由として「必要な支援が得られなかった」と回答した人が、具体的にどのような支援を求めていたのかを自由回答形式で質問した結果、休暇や柔軟な働き方に加えて、金銭的な支援を必要としている状況が明らかになった。寄せられた自由回答は次のとおり。

  • 経済的支援
    • 最低限の賃金保障
    • 経済的な支援
    • 施設を使うための援助金
  • 休暇制度・柔軟な働き方
    • 介護による長期の休暇
    • 時間に融通がきく休暇
    • テレワークなど通勤を必須としない働き方
  • その他
    • 休んでも許される職場内の雰囲気
    • 適切なアドバイス

介護に関する企業独自の制度・支援について

 企業独自の介護支援制度の有無と利用状況については、「制度・支援が存在しなかった」「制度・制度の有無が分からない」という回答がそれぞれ3割近くを占めており、企業による独自の介護支援制度の整備や周知がまだ十分に進んでいない現状がうかがえる。

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 一方で、転職「後」の会社では、転職「前」の会社と比較して全項目において「制度・支援が存在する」 割合が上昇。特に「公的な制度を上回る介護休暇」「フレックスタイム制」「テレワークの実施」は、いずれも転職「後」のほうが7%以上高い結果となった。

 「制度・支援が存在している会社における支援・制度の利用率」 を見ると、転職「前」の会社では「介護サービスの費用助成」が47.1%と最も高い利用率を示している。転職「後」の会社では「費用助成」の利用率はそれほど高くない代わりに、「介護に関する相談窓口やコミュニティ」「テレワークの実施」「短時間勤務制度」など、日常的に利用できる制度の利用率が高いことが分かった。

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 また、転職「前」の会社について、前問で「制度・支援は存在していたが、利用していない」を選択した回答者を対象にその理由を聞いたところ、全体として「利用したいと言いづらい雰囲気・人間関係だったため」の割合が高くなっている。特に「公的な制度を上回る介護休暇」や「短時間勤務制度」「テレワークの実施」など、業務時間の短縮に関わる制度でこの傾向が強いことが分かる。

 加えて、「介護に直面した『後』の支援制度に関する情報提供」では、「利用することでキャリアに影響が出ることを懸念したため」が21.7%と多くなっており、職場環境に起因する理由によって利用を断念する人が一定数存在すると明らかになった。

 さらに、「介護や介護支援に関するセミナー」や「フレックスタイム制」などは「制度についてよく知らなかったため」 が上位に挙がっており、制度が存在していても認知度の低さによって利用されていない状況がうかがえる。

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介護に関する公的な制度・支援について

 転職「前」の会社における公的な介護支援制度の利用状況について、全体的に制度の利用率が低いことが分かる。最も利用率が高い「介護休暇」でも25.2%にとどまり、「介護休業給付金」に至っては16.3%とさらに低い水準だった。多くの制度で、8割近く、あるいはそれ以上の人が「利用しなかった」と回答している。

 また、「公的な制度を利用しなかった」と回答した人に対し、その理由を聞いたところ、企業独自の制度・支援を使わなかった理由と比較して「制度についてよく知らなかったため」が目立っている。特に「時間外労働の制限」は29.2%、「介護休暇」は29.1%といずれも3割近くに達しており、制度の認知度の低さがうかがえる。

 さらに、育児・介護休業法で定められた公的な制度についても「業務を手放せなかったため」「利用したいと言いづらい雰囲気・人間関係だったため」など、職場環境に起因する理由で利用をためらう状況があることが示唆された。

 介護に関する公的な制度や支援は、対象家族ごとの取得回数や日数に上限があるものも多く、むやみに取得を促すことで逆に両立を妨げる恐れがあると同社は述べる。育児休業とは異なり、取得率と制度の必要性は必ずしも連動しないという。企業が介護と仕事との両立を支援するうえでは、従業員が希望した場合に適切に制度を利用できる職場環境の整備が求められるとのことだ。

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必要な制度

 介護を理由にした「望まない離職」の経験者である回答者に、「介護と仕事との両立に有効だと思う施策」を1位から5位まで選択してもらい、加重平均により順位づけしたところ、休暇と柔軟な働き方に関する施策が上位に並んだ。

 間接的な支援策である、情報提供やセミナーなどは順位が低くなっているものの、上位に挙がっている「介護休業」や「法で定められた介護休暇」は前問にて認知度の低さが大きな課題であることが示されている。企業による介護支援を実現するためには、上位の施策を導入するだけでなく、従業員が適切な情報を入手できる環境や、制度を利用しやすい職場環境の整備にも継続的に取り組む必要があるという。

 また、企業独自の制度・支援としては、柔軟な働き方に続いて「介護サービスの費用助成」「メンタルヘルスの支援制度」など介護に関する具体的な支援施策や、「制度を利用したいと言いやすい雰囲気・人間関係」「介護をしながら働いている前例」など周囲の理解が得られる環境が求められている。

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 なお、調査の概要は次のとおり。

  • 調査主体:OKAN
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査委託先:マクロミル
  • 調査期間:2025年2月21~24日
  • 調査対象:制度や仕組みが整っていれば同じ会社で働き続けたかったが、5年以内に介護が理由で正社員から転職した会社員
  • 調査人数:515名

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労務管理から戦略人事、日常業務からキャリアパス、HRテクノロジーまで、人事部や人事に関わる皆様に役立つ記事(ノウハウ、事例など)やニュースを提供しています。

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