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インタビュー《エンゲージメントサーベイ》| インテージグループが行った因果分析とその成果とは

サーベイ結果を“ファクト”から読み解く! インテージグループが因果分析で得た「自信」と「ブレなさ」

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 いまや多くの企業が実施している「エンゲージメントサーベイ」。しかし、その結果を自信を持って社内に説明し、人事施策につなげている人事担当者は少ないのではないだろうか。マーケティングリサーチのプロ集団であるインテージホールディングスは、その課題に対して「因果分析」を実施。グループ3000名を対象とした大規模サーベイデータを分析し、経験や勘に頼りがちだった人事施策をロジカルに検討・推進できるようにした。本記事では、同社が行った因果分析はどのようなものなのか、そして何が明らかになり、どのような人事施策へつなげて組織に変化をもたらしたのかを、同社の今井氏に話を聞いた。

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定性的な示唆に課題 「見えない何かがあるのでは」

——貴社は2023年4月に、組織サーベイの結果をもとに因果分析を行いました。まず、組織サーベイはいつからどのような狙いで始まったのでしょうか。

 組織サーベイはいわゆる従業員エンゲージメントサーベイです。弊社では、「個人のモチベーション」「チャレンジする組織風土」「階層・組織横断風土」の3つの状態を可視化することを目的に、2021年ごろから年2回、グループ企業3000名を対象に行っています。

今井 輝夫氏

今井 輝夫(いまい てるお)氏

株式会社インテージホールディングス 経営企画部 人事企画グループ グループリーダー

社労士事務所で労務業務を経験後、企業人事としてSIer、部品メーカーで採用、研修、人事制度、海外人事等を担当。電子書籍のベンチャー企業に1人目人事として入社。組織の拡大に伴う様々な人事課題に対応し、その後CHROとして人事領域を管掌。2022年よりインテージホールディングスに入社。10か国28社のグループ会社横断の人事企画に従事。

——では、因果分析を行った背景を教えてください。

 弊社では、組織サーベイを行った後は、定量的な結果と示唆を毎回出しています。しかし、サーベイの回数を重ねて大きく数値が変化しない中で、人事担当者の経験や定量結果で示されるトレンドから示唆を導くだけでは、どうしても毎回同じような結論になってしまい、説得力に欠けると感じていました。

 サーベイ結果から読み解く示唆のファクトは何なのかというところまで追いきれていないというか、見えない何かがまだあるのではないかと。人事担当者として「こういう結果が出ています。ゆえにこう思います」という説明を確固たるものにするには、何かが足りないと感じていました。それに、もし人事担当者には見えない何かがあるとしたら、それは未実施の対策があるということです。そういった点に課題を感じていました。

 そんなとき、会社のリサーチ担当者から、「因果分析という新しい分析手法があるので試してみないか」と声がかかりました。当社はマーケティングリサーチの会社です。組織サーベイの因果分析を行うことで、新しい商品の参考事例にもなりますし、すでに海外のグループ会社では組織サーベイをもとに因果分析を行ったらしく、「今度は国内でやってみよう」とスムーズに進みました。

——説得力に課題を感じていたとのことですが、その説得する先とはどこなのですか。

 経営層と従業員です。組織サーベイはその都度、集計が終わった時点で経営層に報告しています。それが終わった後に、社内ポータルで公開し、従業員全体にも開示しています。

——組織サーベイを行って終わりではなく、従業員にも開示しているのですね。

 はい。経営層と従業員の両方へ報告することによって、組織サーベイを行う理由が伝わり、定期的なサーベイであっても回答率を上げられます。事実、直近で行った組織サーベイのグループ全体回答率は90%超でした。また、経営層に対する信頼にもつながっていくと思います。

サーベイから人事施策までをロジカルに考えられた

——因果分析を行うことでなぜ説得力を高められるのでしょうか。

 よく使われる分析に、「相関分析」と呼ばれる手法があります。「Aに対してBの関係性は強い/弱い」というのが分かります。因果分析は、そこに矢印が付くイメージです。

 相関分析だと「AとBは関係がある」「AとCは関係がある」「AとDは関係がない」のように関係性が羅列されるだけなのですが、因果分析では「Aが増えることによってBが増える」「AはCに強い関係がある」のように構造化できるのです。

 たとえば、弊社の因果分析の結果を見たとき、「成長実感」は「達成感」に影響を与えています(次図)。

右上黄色に注目。「成長実感」から「達成感」に矢印が向いている。
右上黄色に注目。「成長実感」から「達成感」に矢印が向いている。
[画像クリックで拡大表示]

 つまり、従業員が成長実感をたくさん得ると達成感を得られるということです。「個人のモチベーションを高めるために達成感を高めたい」という戦略がある場合、「成長実感を高める施策をやるべきだ」と判断できます。

 このように、注目している項目と関係がある要素だけを抽出し、かつ関係性の強弱も分かる。さらに、原因と結果という構造を見て、人事は原因に作用する施策を考えればよい。組織サーベイで可視化した組織の状況から人事施策までを、ロジカルに考えられるのです。

——なるほど。「成長実感」と「達成感」の関係性以外に、因果分析ではどのようなことが分かりましたか。

 組織サーベイの柱の1つでもあるのですが、グループ企業28社の連携が経営側の課題でした。因果分析で見えた構造では、「部内連携」が関連項目のすべてに矢印を向けていて、かつすべての数字が高い(次図)。つまり、グループ内の連携を高めるにはまず部内の連携が重要であることが分かりました。

[画像クリックで拡大表示]

 また、課内連携もつながりがあるので大事。小さい単位の組織こそが個人のパフォーマンスや組織風土に作用するのだとあらためて気づきました。

 これらの構造は自社特有のものです。これまで人事施策を考えるときには他社の事例をよく参考にしていましたが、因果分析を行ったことで、自社の状態を見て人事施策を考えられるようになりました。

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この記事の著者

北浦 汐見(キタウラ シオミ)

都内のスタジオに勤務後独立。ポートレート、取材、料理撮影等、都内を中心に活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

井上奈美香(HRzine編集部)(イノウエ ナミカ)

1994年宮崎県生まれ。京都女子大学文学部国文学科を2017年に卒業し、株式会社翔泳社に新卒として入社。メディア事業部の広告課に配属される。2020年8月に人事向けWebメディア「HRzine」の立ち上げに参画し、HRzineの営業責任者に従事。2023年4月よりHRzine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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