「社内版ビズリーチ」──労働市場水準で人と職務を可視化
では、「目的の不明確さ」と「更新性の欠如」という2つの課題に、どうアプローチすべきか――。
ビズリーチが打ち出したのが、「社内版ビズリーチ」という仕組みだ。この仕組みは、同社が創業以来16年にわたって提供してきた転職サイト「ビズリーチ」で培ったノウハウを土台としている。
AIを活用し、スキル・経験・希望条件を可視化したうえで、検索やマッチングを効率的に行う仕組みは、すでに転職市場で実績を上げてきた。それを社内人材向けに応用し、「人と仕事の最適な出会い」を促すことを目的としたのが、社内版ビズリーチである。
「労働市場の水準で個人と仕事の情報を可視化する。その発想を社内にも持ち込もうとしました。いま誰が、どんなスキルを持ち、どんなことに挑戦したいのか。それを全社的に見える状態にすることで、“社内異動”や“社内公募”の精度も高まると考えました」(花岡氏)
ここで具体的な機能を2つ紹介する。
1つ目が「社内レジュメ作成」だ。この機能の特徴は、社員が自ら入力しなくても、自動で“転職市場水準”のレジュメが社内に生成されるという点にある。
さらにレジュメは、目標・評価・職務経歴・コンディション情報など、多くの企業がすでに日常的に運用している人事データを活用し、自然と更新性が保たれる仕組みになっている。
「以前から、『ビズリーチのレジュメのようなものが社内にもあればいいのに』という声を多くいただいていました。 実際、転職市場ではレジュメ検索の利便性が高く評価されていますし、作成サポートの機能も充実しています。しかし、『では社員にビズリーチに登録してもらい、社内で活用しよう』というのは、さすがに無理がある。それならば、社内向けにレジュメを自動生成する仕組みをつくろうと考えたのです」(花岡氏)
こうして誕生した社内レジュメ機能は、社員の手間なく、鮮度と網羅性の高い人材情報を可視化できるものとなっている。
2つ目が「ポジション生成」だ。この機能は、人と仕事を結び付けるもう一方の軸ともいえる「ポジション情報」(職務の内容や職務に就く人材の要件などに関する情報)を自動生成する。
「ビズリーチにはAIが求人票を自動生成する機能があります。その考え方を応用して、社内でも“どんな人材が必要か”という簡単な問いに答えていけば、社内向けのポジション情報が自動で生成されるように設計しました」(花岡氏)
ポジション情報と同じようなものにジョブディスクリプション(職務記述書)がある。これを人事や事業部門が手作業で作成してきた企業もあるが、工数がかかりすぎて更新が追いつかず、次第に情報が陳腐化してしまうケースも少なくない。
「だからこそ、“簡易につくれること”を強く意識しました。レジュメもポジション情報も、“自動で生成される”という点にこだわりました」(花岡氏)
こうして整備された「レジュメ」と「ポジション」の2つの情報軸は、いずれも同じ構造・ロジックで設計されたデータベースとして構築されており、マッチングのアルゴリズム上も“対”の関係になっているのが大きな特徴だ。これにより、どの人材が、どのポジションにフィットするのかを社内で可視化でき、従来では難しかった最適配置の実現にも、より近づくことが可能になる。
次節では、この仕組みを実際にどう活用し、どのような形でマッチングが行われているのかを見ていく。
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山田 優子(ヤマダ ユウコ)
神奈川出身。新卒で百貨店内の旅行会社に就職。その後、大阪に拠点を移しさまざまな業界・職種を経験してきたが、プロジェクトベースの働き方に魅力を感じて2018年にフリーライターに転向。現在はビジネス系取材記事制作を軸に活動しながら、チームで商品企画・開発にも挑戦中。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
提供:株式会社ビズリーチ
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