SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

HRzine Day(エイチアールジン・デイ)は、人が活き会社が成長する人事のWebマガジン「HRzine」が主催するイベントです。毎回、人事の重要課題を1つテーマに設定し、識者やエキスパードが持つ知見・経験を、参加者のみなさんと共有しています。

直近開催のイベントはこちら!

HRzine Day 2025 Summer

2025年7月29日(火)@オンライン

主要製品スペック一覧

人事業務の効率・確度・精度を高めるために欠かせないHRテクノロジー。その主な製品の機能を分野ごとに比較できる資料群です。製品検討の参考資料としてご活用ください。

eラーニング・LMS<br>主要製品スペック一覧 2024

eラーニング・LMS
主要製品スペック一覧 2024

その他のスペック一覧

人事労務管理システム<br>主要製品スペック一覧 2023

人事労務管理システム
主要製品スペック一覧 2023

タレントマネジメントシステム<br>主要製品スペック一覧 2023

タレントマネジメントシステム
主要製品スペック一覧 2023

人事労務事件簿 | #60

求人票に記載の条件で、契約書作成前に労働契約が締結されたと判断(大津地裁 令和6年12月20日)

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena

4. 訴訟になる前に取っておくべきだった対応(予防策)

(1)採用決定の連絡は慎重に行い、丁寧な対応が必要

 求人票記載が「雇用期間の定めなし」としておきながら、採用決定の連絡後に雇用期間を2ヵ月とし、契約更新しないとした取り扱いは問題でした。

 今回のように、求人票記載の内容と異なる条件(今回は、雇用期間の変更)で採用する場合は、採用決定の連絡前に丁寧に説明し、Xの同意を得ておくべきでした。

 あらかじめ、2ヵ月の雇用期間であれば採用することについて丁寧に説明し、Xが納得し同意すれば、このような訴訟の提起に至らなかったと思います。

 なお、確かに、求人時の条件と実際の労働条件が異なっていても、直ちに違法となるわけではありませんが、その労働条件で労働契約を締結するつもりが最初からないにもかかわらず、あえて有利な労働条件を求人票に掲載し求職者を集めることは、いわゆる「求人詐欺」になります。

 こうした点も注意しておく必要があります。

(2)求人票について

 今回は、ハローワークでの求人票を見て応募したところ、労働条件が異なり、トラブルになりました。

 実際、このようなトラブルは多発しており、厚生労働省が公表した「令和5年度 ハローワークにおける求人票の記載内容と 実際の労働条件の相違に係る申出等の件数」では、以下のとおりの申出件数となっています(数値は全国計)。

  • 申出・苦情等件数:3761件(令和4年度は3890件)
  • 内容別件数
    申出等の内容(主なもの) 令和5年度 件数
    (割合)
    令和4年度 件数
    (割合)
    賃金に関すること 1108件(21.6%) 1085件(20.8%)
    就業時間に関すること 711件(13.9%) 765件(14.7%)
    職種・仕事の内容に関すること 644件(12.6%) 685件(13.1%)
    選考方法・応募書類に関すること 642件(12.5%) 600件(11.5%)
    雇用形態に関すること 280件(5.5%) 358件(6.9%)
    休日に関すること 332件(6.5%) 309件(5.9%)
    雇用期間に関すること 215件(4.2%) 207件(4.0%)
    就業場所に関すること 219件(4.3%) 238件(4.6%)
    社会保険・労働保険に関すること 169件(3.3%) 194件(3.7%)

    ※1件の申出等で複数の内容を含むものは、それぞれの内訳に計上。

  • 主な要因別件数
    • 求人票の内容が実際と異なる 1609件(1902件)
    • 求人者の説明不足 1221件(1226件)
    • 言い分が異なる等により要因を特定できないもの 450件(356件)
    • 求職者の誤解 307件(308件)
    • ハローワークの説明不足 76件(41件)

    ※1件の申出等で複数の内容を含むものは、それぞれの内訳に計上。
    ※括弧内は令和4年度の数値。

 本事案のように「雇用期間の認識が食い違っている」「求人票の内容が実際と異なる」「求人者の説明が不足している」といったことを原因とするトラブルが、実際に多く発生しています。

 ハローワークでは、ハローワーク求人ホットライン(03-6858-8609)を設けています。ハローワークやハローワークインターネットサービスで公開・紹介している求人の内容が実際と違っていた場合には、担当のハローワークにおいて、事実を確認のうえ、会社に対して是正指導を行うこととしています。

 また求人票については、誤解を招かぬよう、適切に記載することを心掛ける必要があります。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena
人事労務事件簿連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

坂本 直紀(サカモト ナオキ)

人事コンサルタント、特定社会保険労務士、中小企業診断士、坂本直紀社会保険労務士代表社員。就業規則作成・改訂、賃金制度構築、メンタルヘルス・ハラスメント対策社内研修などを実施し、会社および社員の活力と安心のサポートを理念として、コンサルティングを行う。 ホームページに多数の人事労務管理に関する情報、規定例、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena
HRzine
https://hrzine.jp/article/detail/6938 2025/08/08 08:00

Special Contents

AD

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

HRzine Day(エイチアールジン・デイ)は、人が活き会社が成長する人事のWebマガジン「HRzine」が主催するイベントです。毎回、人事の重要課題を1つテーマに設定し、識者やエキスパードが持つ知見・経験を、参加者のみなさんと共有しています。

2025年7月29日(火)@オンライン

イベントカレンダーを見る

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング