成功の鍵はトップにあり?! 大企業とスタートアップそれぞれの現実
——ウェルビーイング経営の実現において重要なことは何でしょうか。
野間 トップの意識が最も重要だと思います。どんな会社でも、まずは経営者が本気で「人(顧客・従業員)をハッピーにしたい」と思っていなければ、施策は形骸化します。その点、テックタッチのようなスタートアップのほうが成功しやすい傾向にあります。
井無田 私自身も、スタートアップ経営者同士の会話で、リーダーの関与と発信の重要性は強く実感しています。
野間 大企業は、オーナー企業でなければ経営トップや推進役の人事責任者も数年ごとに交代するため、継続性が課題になります。ウェルビーイングを経営アジェンダに掲げ、腰を据えてこのテーマに向き合うことが必要でしょう。
だからこそ最近では、「CWO(Chief Well-being Officer)」を設定する企業も増えてきました。楽天をはじめ、多くの企業がCWOを中心にCWS(Company Well-being score)の向上を重要な経営目標として取り組んでいます。
トップに関心を持ってもらうには?
井無田 トップがウェルビーイングにあまり関心がない場合は、どうしたらよいのでしょうか。
野間 たしかに、それは多くの企業でぶつかる壁です。まずは現状を把握してもらうことが重要です。たとえば、外部評価機関のサーベイを使って今の職場状況をスコア化する。その結果を、競合他社や先進事例と比較して見せると、経営的な課題としての認識につながることがあります。ウェルビーイングの現状を可視化することは1つの方法です。
——業種によってもウェルビーイング経営へのアプローチは異なるのでしょうか。
野間 ウェルビーイング経営のアプローチが企業によって異なる最大の理由は、経営者にとって“理想のウェルビーイング経営のあり方”が異なるからでしょう。
加えて、業種特性による違いもあります。たとえばサービス業では、人間的成長や良好な人間関係を重視するスタイル(次図の左上と右上)に寄るケースが多く見られます。

一方で、テック業界では、個人のパフォーマンスや裁量を重視する傾向が強く、労働環境や報酬制度を通じてワークモチベーションを高めるアプローチ(図の左下)が主流です。
そして、「組織ビジョンへの共感」によって一体感を醸成するタイプ(図の右下)は、業種にかかわらず非常に重要な視点といえます。