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HRモダナイゼーション ~グローバルのベストプラクティスに学ぶ日本人事への提言~ | 第6回

「経営戦略とつながる人事戦略」のよくある間違いと戦略構築のためのフレームワーク【人材ギャップ解消編】

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経営戦略とつながる人事戦略フレームワーク(Leo-sanモデル)~人材ギャップ解消編

 前回の【人材ギャップ把握編】では、経営の現在・短期、中長期の目指す姿に対して、それぞれの時点での人材の量・質のあるべき状態を把握し、現状および“なりゆきの将来”との人材ギャップを把握することを説明しました。そのギャップを解消するのが人事戦略です。今回は【人材ギャップ解消編】として、④「タレントマネジメント」レイヤー、⑤「カルチャー」レイヤー、⑥「仕組み・変革」レイヤーを説明します[1]

[画像クリックで拡大表示]

[1]: ①「経営戦略」レイヤー、②「ヒト」レイヤー、③「リソースマネジメント」レイヤーは前回に解説。

④「タレントマネジメント」レイヤー

 「タレントマネジメント」とは、“タレマネシステム”を導入して人材情報を可視化することや、経営人材の後継者管理をすることだと思っている方がいるようですが、何を目的とするかによってとるべき施策は変わります。タレントマネジメントをシンプルに定義するのであれば、「人材ギャップを解消する活動」と理解いただくとよいです。Leo-sanモデルでは、タレントマネジメントの考え方を整理するために、次に示す人材ギャップ解消の「方針要素」を出し、それぞれどうしていきたいかを考えて施策に落とすようにしています。

方針要素

  1. 解消すべき人材ギャップ
  2. ギャップ解消の対象とする人材:全従業員に対してか、一部の人材に対してか、社外の人材に対してか
  3. ギャップ解消の主体:会社主導で進めるか、従業員本人主導にまかせるか
  4. ギャップ解消方法:社外からの人材獲得(または社外への人材放出)か、社内での育成(または自発的な成長)か

 上記の要素を組み合わせたことで、自社に必要なタレントマネジメント施策が見えてきます。いくつか例を挙げます。

1:経営人材づくり

  1. 「将来の経営人材が不足している」という人材ギャップに対して、
  2. 「経営人材候補(一定職位以上などの一部の人材)」を、
  3. 「会社主導」で、
  4. 「社内での育成と社外からの人材獲得」により解消したい。
必要なタレントマネジメント施策
「後継者管理(キーポジション・キー人材管理)」
  • 解消したい人材ギャップ対象範囲をキーポジションとして定義する
  • 各キーポジションを将来担える候補人材を洗い出す
  • 候補人材に対して、準備が必要と想定される期間内に対象ポジションを担える状態に引き上げるために、特別な研修プログラムやアサインメントで育成する
  • または候補人材を外部採用する

など

2:自律的適材適所

  1. 「成長事業の人材が不足している、かつ、今後縮小が見込まれる既存事業の人材が過剰気味である」という人材ギャップに対して、
  2. 「全従業員」を、
  3. 「従業員本人主導」で、
  4. 「自発的に成長して、人材が不足している事業や職務に自ら手を挙げて動いてもらう」ことにより人材ギャップを埋めたい。
必要なタレントマネジメント施策
「キャリアオーナーシップ(キャリア自律)の推進」
  • 従業員本人が自身でキャリアパスを考えられる仕組みをつくる
  • 当該キャリアパスに進むために、上司またはメンターから助言や支援を受ける
  • 目指すキャリアに必要な能力を身に付けるために、社内の学習機会や社内副業体験を利用する
  • 進みたいキャリアの社内公募[2]が始まったときに、自ら手を挙げて異動する(その結果人材ギャップが解消する)

など

[2]: 人材ギャップを埋める目的なので、会社が充足させたいポジションをオープンポジションとして公開する社内公募制度であることが前提。

3:「個」の力による組織パフォーマンス向上

  1. 「全社・組織の目標に対して、従業員1人ひとりのパフォーマンスを向上させる必要がある」という人材ギャップに対して、
  2. 「全従業員」を、
  3. 「会社主導」で、
  4. 「育成する」ことにより人材ギャップを埋めたい。
必要なタレントマネジメント施策
「『パフォーマンスマネジメント』としての評価・処遇制度の見直し」
  • 会社や組織の目標を達成するための従業員1人ひとりの役割を明確化する
    (「今していること」ではなく本来求められることを重視した役割再定義)
  • 役割に求められることを踏まえた目標を立て、発揮度合いを評価に組み込む
    (本質に立ち返った目標管理・評価制度の見直し)
  • 上司が部下のパフォーマンスを引き上げることを目的とした、目標管理と連動した1on1を行う
  • パフォーマンスに対する従業員のモチベーションを引き上げやすい処遇・報酬制度を導入し、組織長がチームの短期・中長期のモチベーションを維持できるような責任・権限を持つ

など

4:社外からの人材獲得

  1. 「今後拡大していこうとする領域であるが、社内の専門人材が不足している」という人材ギャップに対して、
  2. 「社外の人材」を、
  3. 「会社主導」で、
  4. 「獲得する」ことにより人材ギャップを埋めたい。
必要なタレントマネジメント施策
「タレントアクイジション/タレントアトラクション」
  • 各事業が社外から人材を獲得するためのオープンポジション管理や承認プロセスの仕組みをつくる(人員・人件費ガバナンス)
  • 各事業が必要とする人材の獲得を支援する専門チーム(TA:タレントアクイジション/タレントアトラクション)をつくる
  • 各事業の組織長に対してハイアリングマネージャー[3]教育を実施する
  • ダイレクトリクルーティングや外部人材採用のためのタレントプールをつくる

など

[3]: 募集ポジションに対して、採用要件の作成および採用判断の主体となる役割。

 人材ギャップ解消の方針要素については、「ギャップ解消の時間軸」を加えるなど、自社に必要な要素を増減させてもかまいません。重要なのは、人材ギャップを解消するために必要なこととしてタレントマネジメント施策が設計されていることです。

次のページ
⑤「カルチャー」レイヤー

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この記事の著者

籔本 レオ(ヤブモト レオ)

ワークデイ株式会社 チーフHRストラテジスト。外資系コンサルティングファームにて、HRトランスフォーメーションを中心とした人事領域のコンサルティングに従事。その後、 事業会社(日本企業)に移り、人事部門の立場から戦略的なHRオペレーティングモデルへの変革をリード。Workdayに入社する前は、外資系...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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