必ずチェック! ポイント
- ハロートレーニングは公的な職業訓練制度であり、主に雇用保険受給者を対象とした「公共職業訓練」と、雇用保険を受給できない方を対象とした「求職者支援訓練」に大別される。
- 離職者向けが中心である一方、中小企業の従業員を対象とする「在職者訓練」や「生産性向上支援訓練」、学卒者や障害者を対象とした訓練も実施されている。
- 在職者訓練は短期間で専門知識や技能を習得できる仕組みで、令和5年度の受講実績は11万4552件にのぼり、幅広い企業で活用されている。
関連サイト・資料
- 厚生労働省「ハロートレーニング」
- 厚生労働省「ハロートレーニング(在職者訓練)」
- 厚生労働省「ハロートレーニング(公共職業訓練・求職者支援訓練)の全体像」
- 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「生産性向上支援訓練」
3分でチェック! ハロートレーニング
ハロートレーニングとは、希望する仕事に就くために必要な職業スキルや知識などを習得することができる公的制度です。雇用保険の受給者向けの「公共職業訓練」と、雇用保険の受給条件を満たさない方向けの「求職者支援訓練」に大別できます。
ハロートレーニングは主に離職者に対する訓練制度ですが、中小企業に従事する方に対して、業務に必要な専門知識や技能・技術の向上を図る目的で実施される「在職者訓練」や、「生産性向上支援訓練」といった制度もあります。
ハロートレーニングの種類と全体像は、厚生労働省のチャート図で確認できます。

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当コラムでは、ハロートレーニングの全体像を解説したのち、従業員のスキルアップを図るために実施される「在職者訓練」と「生産性向上支援訓練」を中心にガイドします。
ハロートレーニングの全体像と種類
公共職業訓練は主に雇用保険受給者を対象とする訓練ですが、離職者以外にも、在職者や学卒者、障害者など、多様な対象者向けに実施されています。
全体像を表で解説します。
公共職業訓練の種類
対象者 | 内容 |
---|---|
離職者 |
ハローワークを通して求職活動を行っている離職者を対象とした公的な職業訓練。主に雇用保険受給者が対象で、テキスト代以外の費用は無料。 受講期間中は、雇用保険から基本手当、受講手当、通所手当、寄宿手当を受給できる(一定の要件あり)。 訓練期間: おおむね3ヵ月~2年 内容:
|
在職者 |
主に中小企業の在職者を対象とした有料の職業訓練。 訓練期間: 2日間~5日間 |
学卒者 |
高等学校卒業者などを対象とした有料の職業訓練。 訓練期間: 1年または2年 |
障害者 |
ハローワークを通して求職活動を行っている障害者を対象とした無料の公的職業訓練。 訓練期間: おおむね3ヵ月~1年 |
求職者支援訓練とは、主に雇用保険を受給できない求職者の方を対象とした職業訓練です。テキスト代以外の費用は無料で、一定の要件を満たす場合、受講期間中に受講手当などが支給されます。
求職者支援訓練
対象者 | 内容 |
---|---|
雇用保険を受給できないハローワークの求職者 (受給が終わった方も含む) |
訓練期間: おおむね2ヵ月~6ヵ月 内容:
|
ハロートレーニング:在職者訓練とは
在職者訓練とは、主に中小企業に勤める方々を対象に、従事されている業務に必要な専門知識および技能・技術の向上を図るための比較的短期間のハロートレーニングです。
離職者向けのハロートレーニングは、3ヵ月から2年程度の中長期にわたり実施される一方で、在職者訓練は、2日間から5日間という短期間となる点が違いです。
ただし、若手・中堅社員の方を対象としたポリテクカレッジの事業主推薦制度では、高度なものづくり人材を育成する目的の専門課程・応用課程として、2年間の長期間訓練も実施しています[1]。
対象者
主に中小企業に在職している方
訓練期間
2日~5日
実施主体
国(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)および都道府県
在職者訓練の内容と実績
国(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)では、企業の生産現場が抱える課題解決のため、生産性向上や業務改善、新たな製品づくりに必要な専門知識と技能・技術を習得する目的で実施されます。
都道府県では、機械・機器操作の基礎的な取り扱いを習得させる目的の訓練など、地域の人材ニーズを踏まえた基礎的な在職者向け訓練を実施しています。
訓練科目には、「電気工事科」「溶接科」「機械加工科」「機械製図科」「情報ビジネス科」などがあります。
在職者訓練の受講の流れ
国(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)が実施する訓練受講を希望する方は、最寄りの生産性向上支援センターに問い合わせてください。
生産性向上支援センターには、次の2種類があります。
- 職業能力開発促進センター(ポリテクセンター):求職者の再就職を支援するための職業訓練、中小企業等で働く方々を対象とした職業訓練や人材育成等の支援を行う施設
- 全国の職業能力開発大学校/職業能力開発短期大学校(ポリテクカレッジ):高校卒業者等の方を対象に、ものづくりの基本を習得し、企業の製造現場での最新の技能・技術に対応できる人材の養成を行う施設
都道府県が実施する在職者訓練は、各都道府県にお問い合わせください。たとえば、東京都では「東京都はたらくネット」にて講座内容や費用、スケジュールが公開されています。
在職者訓練の実績
令和5年度の在職者訓練受講者数は、国(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)と都道府県の実施数合計で11万4552件でした。
この訓練は主に中小企業を対象としていますが、国の実施状況(企業別データ)を見ると、1000人以上の大企業でも1万8000人が受講しており、企業規模を問わず広く活用されていることが分かります。
さらに推移を見ると、コロナ禍で一時的に受講者数が落ち込んだものの、令和5年度には国の訓練数が7万0789件、都道府県の訓練数が4万3763件となり、コロナ前(令和元年度)の水準まで回復しています。


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相談窓口
職業訓練の種類によって、実施主体が異なります。各窓口にお問い合わせください。
- 厚生労働省「地域毎の訓練情報(公共職業訓練(離職者訓練)関係)」
- 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「職業能力開発促進センター(ポリテクセンター)」
- 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「職業能力開発大学校/職業能力開発短期大学校(ポリテクカレッジ)」