マイナビは、2025年1~6月に中途採用業務を担当し、募集活動をしており、採用費用の管理・運用に携わっている人事担当者を対象に実施した「マイナビ 中途採用実態調査 2025年版」の結果を発表した。
2025年上半期の中途採用実施の理由、1位は「即戦力の補充」
企業の人事担当者に直近半年間(2025年1~6月)における中途採用の実施理由を聞くと、「即戦力の補充」が48.4%で最多となり、次いで「退職者の増加(自己都合による欠員の増加)」が32.4%、「既存事業の拡大」が30.3%と続いた。
今後の中途採用意向については、「今後は積極的になる」は54.0%となり、「今後は消極的になる」の7.4%を大幅に上回っている。
業種別では、「金融・保険・コンサルティング」で「今後は積極的になる」が59.1%と全業種のうち最も高い結果に。特に金融業界では、FinTech(テクノロジーを積極活用した金融サービスのことを指す)との連携による事業の多角化や、老朽化した基幹システムの刷新などDX推進が急務となっていると推察される。
いわゆる「2025年の崖」への対応が迫られる中、即戦力となる人材の確保を目的とした中途採用の強化が進んでいる可能性が見られた。
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企業の副業認可率は72.5%で、「副業している社員がいる」割合は80.8%
2025年の副業認可率(従業員の副業を認可する制度がある割合)は72.5%で、前年から1.7ポイント増加した。経年で見ても、副業を認可する企業割合は増加傾向にあり、企業の働き方に対する柔軟性が高まっていることがうかがえる。
副業を認可する理由では、「社員のモチベーションを上げるため」が39.3%で最多となった。前年に上位であった「社員にスキルアップしてもらうため」は前年比1.4ポイント減、「社員の収入を補填するため」は前年比0.9ポイント減で、割合としては減少しており、企業の副業制度に対する目的意識が変化している可能性が見られる。
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副業を認可している企業の担当者に社内で副業している社員がいるか聞くと、80.8%が「副業している社員がいる」と回答したが、副業している社員の人数については、従業員300名以下では「3~10名」の割合が最多、従業員数300名以上でも「11~50名」の割合が最多と、限定的な規模にとどまっていた。
業種別では、副業している社員がいる割合は、「IT・通信・インターネット」業界が86.7%と最も高く、業界特性として柔軟な働き方が浸透している可能性がうかがえる。
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別の企業や団体での業務を本業とする「副業人材」を受け入れている割合は67.0%
別の企業や団体での業務を本業とする「副業人材」を受け入れている(採用している)企業の割合は67.0%となり、前年から0.9ポイント増加した。経年で見ても受け入れ率は上昇傾向にあり、企業の人材活用の幅が広がっていることがうかがえる。
ただし、副業認可率(72.5%)と比較すると、受け入れ率はやや低く、従業員向け制度として副業が可能であっても、副業人材を受け入れる環境は整っていない企業も一定数存在しているという。副業実施者の増加には、受け入れ体制の整備と促進が今後の課題となる可能性があるとのことだ。
業種別では、「IT・通信・インターネット」が副業人材の受け入れ率が最も高かった。「IT・通信・インターネット」業界は、副業を実施している社員がいる割合も高く、業界全体として副業に対する理解と実践が進んでいる傾向があると推察される。
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20・30代の副業人材では「専門スキルを持つ人材」が最多
別の企業や団体での業務を本業とする「副業人材」を受け入れていると回答した人事担当者に、年代別にどのような人材を受け入れているかを聞いた。20・30代では「専門スキルを持つ人材」(20代:50.0%、30代:44.0%)が最多だったが、20代は「対人業務を行う人材」(34.2%)、30代は「管理職」(34.4%)と異なる結果となった。
40・50代では「管理職」(40代:46.6%、50代:45.1%)が最多で、「専門スキルを持つ人材」(40代:43.3%、50代:39.5%)、「フルタイム勤務が難しい人材」(40代:29.6%、50代:27.1%)と続き、受け入れている人材は同様の傾向があることが分かった。
全年代において「専門スキルを持つ人材」が上位に挙げられており、副業人材の受け入れにおいては、特定分野における専門性が重視されている傾向があると考えられる。また、40・50代では「管理職」が最多となっていることから、企業が副業人材に対してマネジメントスキルを期待している可能性も示唆される。
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副業人材の受け入れ有無で、正社員の不足感にギャップ
企業における正社員の過不足感について、「不足感がある」と感じている割合は45.8%で前年より2.9ポイント増加した。副業人材の受け入れ有無別に比較すると、「不足感がある」割合は、受け入れている場合は36.4%で前年より1.9ポイント増加、受け入れていない場合は64.8%で前年より5.7ポイント増加している。
副業人材を受け入れている場合といない場合の正社員の不足感には28.4ポイントの差が見られ、受け入れている企業の方が正社員の不足感が相対的に低い傾向であることが分かった。
スペシャリスト人材(IT人材など)の過不足感についても、全体では「不足感がある」が50.4%であったのに対し、副業人材を受け入れている場合は42.7%、受け入れていない場合は65.9%と、こちらも23.2ポイントと大きな差があった。
この結果から、副業人材の受け入れが企業における人材不足感の緩和に、一定の効果をもたらしている可能性が示唆される。
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なお、調査の概要は次のとおり。
- 調査期間:2025年7月9~14日
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:2025年1~6月に中途採用業務を担当し、募集活動をしており、採用費用の管理・運用に携わっている人事担当者
- 有効回答数:1600件
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