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インタビュー《評価制度》| 生成AI機能で「人事評価の質」向上を目指すオプテージ

生成AIで「人事評価のばらつき」解消に挑むオプテージ 3000名の社員1人ひとりに寄り添う人事を目指して

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 生成AIの普及に伴い、人事領域でもその活用が急速に広がっている。定型業務の自動化にとどまらず、近年は人材育成やマネジメントといった“人の判断”が求められる領域にも応用が進み、株式会社オプテージは、上司・部下の多くが悩む「目標設定」と「評価フィードバック」という人事制度の根幹に生成AIを導入した。同社ではどのように実践的に活用しているのか。その背景と導入のプロセスについて、同社 総務室 人事労務部 HR企画チームの田村氏と市川氏、同プロジェクトに伴走した株式会社プラスアルファ・コンサルティング(以下、PAC)の水取氏に話を聞いた。

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3つの組織が統合 異なる文化からシナジーを生むための評価制度

 まずは、オプテージが人事評価制度に生成AIを導入する以前、どのような課題を抱えていたのかを見ていこう。

 オプテージは、関西電力グループの通信・IT・インフラを担う中核企業だ。2019年4月、通信事業会社のケイ・オプティコムに、関電システムソリューションズが保有していた情報システム機能、関西電力の電力保安通信機能という、バックグラウンドが異なる3つの組織が統合し、現在の体制が発足した。

 一見グループ内の再編に見えるが、文化も風土もまったく異なる組織が1つの企業として生まれ変わったに等しい。社員数が一気に増加し、約3000人の多様な価値観や働き方が交錯する中で、共通の人事制度をゼロベースで設計する必要に迫られた。新たな組織としての一体感をいかに醸成し、事業シナジーを生み出すか。それが人事戦略における最初のテーマだった。

 当時を知るオプテージのHR企画チーム チームマネージャーの田村氏はこう語る。

 「オプテージが掲げる行動指針を日々の業務の中で実践できるようにすること。そして、それを通じて会社が持続的に成長していくためには、上司と部下のコミュニケーションを深化させることが不可欠だと考えました」(田村氏)

田村 修一氏

田村 修一(たむら しゅういち)氏

株式会社オプテージ 総務室 人事労務部 HR企画チーム チームマネージャー/社会保険労務士

アプリケーションエンジニアとして入社後、現在のコーポレート部門(人事労務領域)へ転進。タレントパレット導入初期からタレントマネジメント推進を担う。

 その理念を支えるためにゼロから設計されたのが、「役割等級制度」を軸とした評価制度だ。制度は「役割行動評価」と「成果評価」の2つで構成されており、役割行動評価では5つの行動指針を基盤に、「専門性」「課題解決」「共創」の3つの観点を設定。成果評価では単年度の個人の業績を評価する。

 評価制度の根底にある考え方は、社員1人ひとりがプロフェッショナルであるということ。ここでいうプロフェッショナルとは、単に特定の専門性を極めるだけではない。変化の激しい社会の中で価値を提供し続けるために、自らの「ありたい姿」を描き、その実現に向けて必要な専門性を柔軟に身につけていく“しなやかな人材”を指す。この定義は、制度導入時に全社員へ明確に伝えられたという。

現場密着だけでは限界があった“質のばらつき”という壁

 理念を反映した新しい評価制度が整い、運用が始まったオプテージ。しかし、実際に制度を動かしてみると、思わぬ課題も浮かび上がってきた。

 「当社は通信・情報・電力など出自の異なる社員が集まっています。元会社の人事制度もまったく異なり、考え方や育った環境の違いから評価に対する意識やアプローチも当然異なっていました。つまり、目標設定の質のばらつき、評価の甘辛、フィードバックコメントの濃淡など、属人的な『質のばらつき』が避けられないということ。画一的な基準を設けただけで、人事評価の運用が完結するわけではないことを痛感しました」(田村氏)

 評価コメントを細かくていねいに書く上司もいれば、必要最低限の記載にとどまる人もいる。結果として、評価の納得感やフィードバックの一貫性にばらつきが生まれたという。

 そこでオプテージでは全社的な評価者研修を実施し、「行動評価の観点」や「フィードバックにおける留意事項」などのマニュアルを制定し、周知を図ってきた。また、同社では2021年から事業本部ごとに人事担当者を配置し、現場と人事の接点を強化している。いわゆるHRBPに近い役割を持ち、各本部に根ざしたサポートを行う体制を整えた。

 「当時、BtoB部門では約900人、BtoC部門では400人ほどの社員が所属していました。技術部門になると1000人を超える。そうした中で、人事部門が本部ごとに入り込み、現場の声を聞きながら評価者の悩みを理解するようにしていました。『この人をなぜ昇格させたいのか』『なぜこの人の評価を上げたいのか』といったリアルな話をする機会も多く、現場の課題がよく見えるようになりました」(田村氏)

 しかし、人事が個別にフォローできる範囲にも限界が見えてきた。

 「当時この役割を担当していた人事メンバーはわずか4人。すべての評価内容を網羅的に確認するのは現実的ではありませんでした。私たちとしては、現場に寄り添いながら評価運用の質の底上げをしていきたかったのですが、どうしても人手だけでは追いつかない現実に直面しました」(田村氏)

 このように、制度そのものは整理されていても、実際の運用段階では“評価の質の均一化”という大きな壁が立ちはだかっていた。

 PACの水取氏も、この課題はオプテージ特有のものではないと指摘する。

 「大企業を中心に、同じような課題を抱えるお客様は非常に多いです。人事制度の運用において、どうしても目標設定や評価コメントの内容にばらつきが出てしまう。人事が説明会などでルールを周知したり、研修を行ったりといった対応をしていますが浸透には時間がかかります」(水取氏)

水取 香菜子氏

水取 香菜子(もんどり かなこ)氏

株式会社プラスアルファ・コンサルティング タレントパレット事業本部 科学的人事コンサルティング部 生成AIイノベーショングループ グループリーダー

ITコンサルタントとして、企業向けシステム導入支援および生成AI活用プロジェクトに多数従事。業務要件整理から設計、導入後の定着支援まで一貫して携わる。近年は生成AIを活用した業務効率化、ナレッジ活用、スキル情報の可視化などをテーマに、実務に根差したAI活用を社内外で推進。現場課題とテクノロジーを結びつけ、実行可能な形での価値創出を強みとする。

 人の判断と感情が深く関わる評価という領域で、いかに制度の質と公平性を保つか。属人的な運用の限界を実感したオプテージは、次なる一手として生成AIの活用に踏み出した。

 「生成AIを活用することで、評価における“人によって生まれる差”を補い、より広い層に素早く均質な支援を届けられる。その点に大きな期待があると思います」(水取氏)

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プロンプトに思想を込めて、社員が“自分ごと”と思えるように

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この記事の著者

山田 優子(ヤマダ ユウコ)

神奈川出身。新卒で百貨店内の旅行会社に就職。その後、大阪に拠点を移しさまざまな業界・職種を経験してきたが、プロジェクトベースの働き方に魅力を感じて2018年にフリーライターに転向。現在はビジネス系取材記事制作を軸に活動しながら、チームで商品企画・開発にも挑戦中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

井上奈美香(HRzine編集部)(イノウエ ナミカ)

1994年宮崎県生まれ。京都女子大学文学部国文学科を2017年に卒業し、株式会社翔泳社に新卒として入社。メディア事業部の広告課に配属される。2020年8月に人事向けWebメディア「HRzine」の立ち上げに参画し、HRzineの営業責任者に従事。2023年4月よりHRzine編集部に所属。

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タナカタイゾー(タナカタイゾー)

フリーカメラマン。日本写真映像専門学校卒業後、写真スタジオを経て独立。関西を拠点に広告、カタログ、雑誌の分野で活動。最近は子どもも成長し、休日は愛犬と一緒に1人と一匹でキャンプを楽しむ。

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