AI×人事の可能性——人事配置・キャリア相談へと広がる構想
AIアドバイス機能の開発を経て、2025年4月には「役割行動評価」向けの機能を、同年10月には「成果評価」向けの機能をリリースしたオプテージ。リリースから間もないが、利用はすでに広がりを見せている。
「10月のリリース後、すでにタレントパレット上で約500回の利用があり、人数にすると約300名の社員が実際に使ってくれています。感想などはこれからですが、まずはクリックしてもらうことが大事だと思っていたので、自然に広がっているのはうれしいですね」(市川氏)
興味深いのは、その浸透の仕方だ。
「大々的な説明会などは実施していないです。評価の依頼時に“AIアドバイス機能が追加されました”とだけ案内して、あとは自然に使ってもらっています。タレントパレットの機能追加・改善は定期的に行っていますので、各部門のメンバーとの個別の会話の中で積極的に紹介することはありますが、基本的にはそのスタンスとしています。『AI機能を導入しました!』と強く打ち出すよりも、社員が業務の中で“いつの間にか使っていた”というほうが、自然に定着するのではないかと考えています」(市川氏)
水取氏も、そのアプローチを肯定する。
「社内への打ち出し方は企業によってさまざまですが、オプテージさんの場合はタレントパレットがすでに浸透していたこともあり、そのような方法が効果的でした。一方で、生成AIを組織全体で推進したい企業では、あえて説明会などでしっかりと打ち出すケースもあります。大切なのは“会社のスタンスに合った導入のしかた”だと思います」(水取氏)
人とAIが寄り添いながら進化していく、新しい人事のかたち
そんなオプテージに、今後の展望についても尋ねてみた。田村氏は「タレントマネジメントの本質的な活用」に目を向ける。
「今回のAIアドバイス機能の実装を皮切りに、タレントマネジメントに寄与する機能拡充は進めていきたいです。タレントパレットの中にたくさん人事データがたまっているので、社員の経験やスキル、志向性のデータをAIで分析し、最適な人材配置や社内ジョブマッチングに活かしていきたいと考えています。たとえば、求められる人材要件に対して“社内でどのくらいマッチしているか”とジョブマッチング度をAIが示してくれれば、より戦略的な配置が支援できる。そういう未来を見据えています」(田村氏)
このためには、単にデータを“ためる”だけでなく、“使える形で蓄積する”ことが不可欠だという。
「入力データをどう構造化し、どんな粒度で取り込むか。それによって、後から活用できるかどうかが決まります。AI時代の人事は、データの質も考える仕事でもあると思っています」(田村氏)
市川氏も、今後の方向性を“キャリア支援”の観点から描いている。
「当社ではすでにキャリアデザインシートを運用していて、社員が自分のキャリア志向を上司と共有する仕組みがあります。将来的には、そのキャリア相談にもAIが寄り添えるようになればよいなと思っています。AIが“パートナー”として、社員1人ひとりの成長を支援できる存在になれたら理想です」(市川氏)
最後に、人事の役割はどう変わるか。水取氏は次のように語る。
「生成AIが一部の業務を担うようになる未来は確実に来ると思います。ただ、人事データをどう分析し、どのように経営に生かすかという点では、まだ課題も多い。AIの活用によって“データの読み解き方”が人事部門にも浸透し、今後はよりデータドリブンな人事戦略を推進する立場に変わっていくと思います」(水取氏)
オプテージが挑む「人事×生成AI」の取り組みは、単なる業務の効率化にとどまらない。人とテクノロジーが寄り添いながら進化していく。今回の施策は、その新たな人事のかたちを示しているといえそうだ。


