設計と運用のPDCAを回し続ける方法
仮置きしたスキル設計を、どのように運用の中で見直し、更新し続けていくのか。設計と運用のPDCAを回すための実践的なポイントを整理します。
スキルの活用シーンを起点に、見直しの観点を設計する
スキルの活用シーンを起点に、見直しの観点を前もって設計することが重要です。スキルは定義した時点で正しさを判断できるものではなく、実際の意思決定に使われた結果を通じて初めて、妥当性や過不足が見えてきます。
スキルは、「定義された情報」であると同時に、「意思決定に使われる判断材料」でもあります。この2つの側面を持つがゆえに、複数の切り口で見直す必要があります。
そこで、見直しの観点は大きく2つの軸で整理しておくことが有効です。
1つは、スキルの「設計内容」自体が妥当かという軸です。スキルの定義が現場の実態や業務内容とずれていないか、抽象的すぎたり細かくなりすぎたりしていないか、似た意味のスキルが重複して定義されていないかといった点を確認します。これは、スキル体系そのものが実務に耐えうる設計になっているかを見極めるための観点です。
もう1つは、スキルの「使われ方」が妥当かという軸です。意思決定に当てはめた際に粒度が判断にとって十分だったか、あるいは扱いづらくなっていないかを確認します。経営レベルでは情報過多になっていないか、現場レベルでは判断材料として粗すぎないかといった視点が重要になります。これは、スキルが意思決定を前に進める情報として機能しているかを確かめるための観点です。
見直しを前提とした体制・役割分担を組み込む
こうした見直しを継続的に回すためには、スキルを1度定義したあとも更新していく前提で、体制や役割分担を最初から組み込んでおくことが欠かせません。体制が曖昧なままだと、現場で違和感に気づいても設計に反映されず、実務で使われないスキルが定義として残ってしまいます。
そのため、職種や専門領域ごとにスキルの妥当性や更新を担う主体を置きつつ、全社人事が横断的に関与し、粒度のばらつきや重複、全体整合をチェックするといった役割分担が考えられます。
「誰が違和感を拾い、誰が見直し案を整理し、どこで最終判断するのか」を明確にしておくことで、スキルは固定化されず、運用を通じて継続的にアップデートされていきます。
スキルベースは60点でも走らせ、実務の中で磨き続ける
スキルベース人材マネジメントは、スキル設計の完成形をつくることが目的ではありません。使いながら見直し、更新し続けることを前提に進める取り組みです。
EYは、EYWPという基盤を活用し、スキルや職務をクイックに設計し、運用の中で試しながら改善していく取り組みを支援しています。100点の設計を目指して立ち止まるよりも、60点でも走らせ、実務の中で磨き続ける。その姿勢こそが、スキルベース人材マネジメントを現実的に機能させるためのアプローチといえるでしょう。

