ハウス食品にとっての人的資本経営と全体像は
高城 ハウス食品グループはいかがでしょうか。
根耒 当社では、人的資本経営という言葉が使われる前から、理念体系の中に「社員とその家族への責任」という考え方を掲げてきました。経営陣との議論においても、我々にとっての人的資本経営とはこの責任を果たすことそのものであると定義しています。
そして、「社員とその家族への責任」という観点でグループの目指す姿を叶えるために、2024年からの中期経営計画では「ダイバーシティを力に変える」という方針を掲げています。大きく3つのカテゴリー、5つの取り組みテーマを推進しているのが今の状況です。(次図)
そして次図では、それぞれの取り組みを全体像として示しています。環境づくりを土台に、我々のダイバーシティの定義「属性」「経験」「適性」を柱として並べています。組織に集まった多様な個人が交わり合って組織として活性化する取り組みをいちばん上に置き、その出力がずれていかないよう、会社側の意思を込めるために、左側に4つのマネジメントがあります。この中で新しく取り組んだのはポジションマネジメントです。
高城 多様性というのは、組織にとっても大きな変化だと思います。川口さん、今の話を聞いていかがですか。
川口 私は、ダイバーシティとは会社にある資産を最大限に活用して価値を上げることが本質だと考えています。社会的な要請に応えるだけでなく、戦力になる余地がある人材にはどんどん活躍してもらう。
たとえば、現場のワーカーに多くの女性がいるのであれば、彼女たちを育成して管理職にしていくといった実質的な活動が重要なのではないでしょうか。
「良い人いない?」から「この人が欲しい」へ。JX金属のスキル可視化
高城 では次に、どのようにデータを活用して、人事戦略を前に進めているのかについて教えてください。
川口 当社は製造業ですので、エンジニアの存在が成長と価値の源泉です。しかし、先ほど申し上げたとおり、部門ごとにエンジニアを抱え込んでしまい、新規事業に人が出せないという課題がありました。
そこで、約1300人のエンジニアについて、学校の専攻や資格、社内でのプロジェクト経験などを集約し、個人ごとのスキルマトリクスを作成しました。
これは、人事権を中央集権化するにあたって、非常に大きな武器になっています。部門に「誰か良い人いない?」と聞いても「誰もいない。人材を手放す余裕はない」と言われますが、「こんな人がいるよね」「この人にここに来てほしい」と言えるようになりました。さらに、「この人の稼働状況は今こんな感じだよね」とデータで把握しているため、パワーバランスが大きく変わったと感じています。
根耒 スキルの可視化は非常に難しいテーマだと思いますが、どのように判定や整理を行っているのでしょうか。
川口 スキルの可視化に至る前のステップとして、技術戦略部という横断的な組織を設けました。そこが技術者全体をコントロールし、把握する機能を持ったうえで、可視化の取り組みを進めました。

