同レポートによると、データプライバシーやサイバーセキュリティの強化といった国の政策が、企業の成長戦略などを抑制しているという。さらに、政策における本来の目標を達成するためには、新興技術の利用を妨げるのではなく、企業と政府の連携を促進させることが必要と指摘した。
レポート内では、国境をまたぐ自由なデータのやり取り、IT製品・サービスの連携、IT人材の交流が抑制されることを「デジタル・フラグメンテーション(デジタル世界における分断化)」と表現。自由なデータのやり取りによって進展した「デジタル・グローバリゼーション(デジタル世界のグローバル化)」の潮流を逆行していると警鐘を鳴らす。
同社が日本を含む世界8カ国400人以上の最高情報責任者(CIO)および最高技術責任者(CTO)に調査したところ、調査対象の74%が「今後3年間、グローバル化の障壁が高まり続ければ、自社は市場からの撤退または新規参入計画の延期や中止を余儀なくされるだろう」と回答。そのほか、同レポート内ではG20構成国で採用されている貿易制限措置が2010年の324件から2016年には4倍の1,263件に増えていることなども解説している。

グローバル化を妨げる障壁の拡大について、同社の最高戦略責任者(CSO)オマール・アボッシュ氏は「グローバル化の流れが逆行すれば、企業は、グローバルITアーキテクチャ、IT人材採用、IT拠点、サイバーセキュリティなどに関する戦略や運用について抜本的な計画変更を余儀なくされる。規制は、企業の成長とイノベーションを阻むのではなく推進するものであるべき」と指摘した。
また、同レポートの調査対象者のうち91%が「グローバル化を妨げる規制が増えることにより、今後3年間でITコストが増えるだろう」と回答。規制により、IT人材の調達、データセンターなどITインフラストラクチャの強化、ITに関する各国の標準規格への準拠といった業務領域が、最も影響を受ける見込みという。