パネリスト
- 遠藤禎士氏(ヤフー株式会社 ピープル・デベロップメント統括本部 コーポレートPD本部)
- キース・サビッジ氏(テラデータ・コーポレーション バイスプレジデント, ワークフォース・イネーブルメント)
- エレオノラ・マニュエル氏(テラデータ・コーポレーション マネージャー, ワークフォース・アナリティクス)
モデレーター
- 後藤裕子氏(日本テラデータ株式会社 人事本部 本部長)
ピープルアナリティクスの意義
ディスカッションの前に、マニュエル氏はテラデータが考えるピープルアナリティクスの定義を「ビジネス上の意思決定や戦略に役立つ、実用的でインパクトのある洞察を生み出すために従業員データを収集、分析、および解釈するプロセス」と紹介し、「ビジネスニーズと戦略の理解」「質問の作成」「利用可能なデータを探索して選択」「分析用データを整理して準備」「データを分析して視覚化」「調査結果を解釈して実行」「継続的な変化の監視と測定」の7つの要素からなるプロセスであることを説明した(図1)。
最近のテラデータは、企業に必要なのはアナリティクスではなく、解を出すことへの投資だと訴えている。そのメッセージに即し、マニュエル氏は同社におけるピープルアナリティクスを、社員に関する様々なデータを集めて解を出す活動と位置付けた形だ。
一方、ヤフーでピープルアナリティクスに取り組む遠藤氏は、現在は人事だがITエンジニアの経歴を持つ。ピープルアナリティクスのポテンシャルに着目して、2018年4月に人事部門に異動し、環境整備を進めてきた。実は、遠藤氏がピープルアナリティクスに取り組むきっかけは、テラデータで現在社長兼CEOを務めるオリバー・ラッゼスバーガー氏との会話で、サビッジ氏とマニュエル氏の2人を紹介されたことにあったという。
現在のヤフーのピープルアナリティクス環境は、マニュエル氏が紹介した7つの構成要素を網羅するものだ(図2)。遠藤氏は、10を超える人事関連システムのデータを集約し、分析に使うべきではないデータを完全に分離した後、分析に使うデータのクレンジングを行った。そして、匿名性を担保した上で100人を超える人事担当者がそのデータを使える環境を整備した。他に同社のマネージャー以上であれば全員がアクセスできるダッシュボードも用意し、「こんなデータが見たい」「こんな切り口でデータを見たい」などのマネージャーからの要望に人事担当者が応える仕組みも整えた。