人材育成サービスを提供するラーニングエージェンシーは、2019年12月~2020年3月の期間、管理職1070人(同社の管理職向け研修の受講者)を対象に実施した「管理職の意識調査」の結果と考察を公表した。
管理職の悩み1位は「部下の育成」。5年前より10%増加し半数超え(50.5%)という結果になった。時代が変化しても管理職を最も悩ませ続けている課題であることが分かった。
「部下があまり成長していない」と感じている割合は5年前の約3倍(27.9%)。「部下が成長している」と感じている管理職は5年前(69.6%)から10%以上減少した。
部下との月間のコミュニケーション時間で最も多かったのは「2~5時間程度(41.3%)」、次いで「1時間程度(24.4%)」となり、全体の6割を超えている。
また、部下の成長度合い別では、「部下が非常に成長している」と回答した管理職は、部下とのコミュニケーション時間が6時間以上の割合が45.8%となり、その他の回答者よりもコミュニケーション時間を長く取っている傾向が見られた。
ラーニングエージェンシー ジェネラルマネジャーの伊藤由紀氏は、今回の調査結果について次のように述べている。
「今回の調査を通じ、管理職にとって『部下の育成』が時代を問わず悩ましい課題であることが改めてわかりました。部下育成に悩みを抱える管理職の割合が5年前と比べ10%増加し、『部下があまり成長していない』との回答が約3倍になったことからも、時代の変化とともに『育成の仕方』についても変化対応が求められていると感じます。
そういった中、『部下の成長を感じている管理職ほど部下とのコミュニケーション時間が長い』傾向が見られたことは一つ、解決の糸口となりそうです。
一方、悩みの順位を見ると、『部下とのコミュニケーション』が5位とそこまで高くないにもかかわらず、『チーム・部門運営』への課題が2位に挙がっています。このことから、1対1のコミュニケーションはできるが、『チーム・部門』という1対Nのコミュニケーションに課題を感じていると捉えることもできます。苦手な1対Nのアプローチを避け、一人ひとりの説得や合意形成を図るという手段を選択してしまうことが、悩みの3位に入ってくるような『時間の不足』を生み出す要因の1つになっているのかもしれません。
今回、『部下の成長』と『コミュニケーション時間』に関連性が見えたことからも、部下とのコミュニケーション時間の確保は管理職にとって重要な課題といえます。今後は、1対1のコミュニケーション時間の確保はもちろんのこと、1対Nで成果に向かってチームを率いるスキルを身につけることが、効率的なチーム・部門運営を行うために求められます」(伊藤氏)