DevNet人材がこれからのビジネスにもたらす価値
――具体的にDevNet認定の知識が実務で求められるようなケースとは、どのようなものでしょうか。
山口:例えば、医療現場で、これまでは医師とコロナ患者が対面でコミュニケーションをとっていたところを、なるべく非接触な形に変えていこうということで、APIでWebexと連携して、病室の状況を医師が待機する部屋にリアルタイムで映し出すような取り組みは今年6月くらいには実装されていました。従来は「1年かけてやりましょう」と進めていたプロジェクトも、今は「明日にでも欲しい」というスピード感で進めなければならない状況になっていますので、さまざまなところでDevNet認定の知識が役立つ場面は増えていると思います。
――DevNetの人材育成は早く進めないと、あっという間に人材不足に陥るかもしれません。
山口:そうなんです。NTT西日本グループで約200拠点の通信ネットワーク環境の構築から開通・運用サポート・修理をされているNTTフィールドテクノ様では、通信設備の維持管理業務からより付加価値の高い設備系 BPO事業へのシフトチェンジを推進する過程で、CML(Cisco Modeling Labs[1]) APIを活用した新たな研修プラットフォーム「バーチャルリモートラボ(VRL)」を構築されています。これによって、いつでもどこでも研修を受講できる環境が整い、Off-JT(学び)と OJT(実践)のサイクル短縮化につながったということで、「第9回日本HRチャレンジ大賞」のイノベーション賞を受賞されています[2]。
注
[1]: 【参考】Webセミナー「Cisco Modeling Labs(CML)を使ってネットワークを学ぼう!」基礎編・応用編・DevNet編
――DevNetを活用した事例がもうすでに生まれてきているのですね。
土屋:このような事例も含め、DevNetのコミュニティに参加することで、エンジニア同士の横のつながりが生まれ、そこから新しい気づきを得て、どんどんビジネスチャンスが広がっていくと、素晴らしいのではないかと考えています。
――DevNetに精通したエンジニアが社内にいることは、企業にとっても大きな価値になりそうです。
山口:はい。企業にとってDevNetの価値は、大きく3つあります。1つめは、企業がお客様にシステムを納品するまでの期間を短縮できるため、顧客満足度を高められること。2つめは、プログラミングで自動化されたものを導入・納品するため、ヒューマンエラーを圧倒的に減らし、新たな顧客提案に時間を使うことができ、企業の競争力の強化や利益率の向上につながります。3つめは、個人のエンジニアにとっては、優秀なDevOpsエンジニアになることで、自身の価値向上につながることです。
――エンジニアのキャリアアップの新しい道筋ができたと捉えることもできるわけですね。エンジニアの定着化の観点からも意義があることだと言えそうです。
山口:パートナー企業のなかには、DevNet人材の育成に力を入れることは、新たな人材獲得にも寄与するとおっしゃっているところもありますね。従来のようにアプリ側からの要請によってネットワークのコマンドを叩いて、ネットワークのバージョン管理や運用を行うというような業務だけではなく、DevNetの学習を深めることで、ネットワークの知識を身に付けつつ、コードによるインフラの自動化やネットワークとOSSを組み合わせたCI/CDなど、ソフトウェアの領域での技量を高めることができ、より競争力のあるエンジニアになれるという意味で、若い世代のエンジニアの職種としての魅力を高めることにつながるのです。