DevNet認定でもスタンダードを目指す
――トレノケートでDevNet認定の対策コースを開講されてみて、ネットワーク系の方にソフトウェアの知識を教える上で、何か苦労されていることはありませんか。
吉田:受講者の感想で一番多かったのが、「Pythonのプログラム言語が思ったよりキツかった」というものでした。DevNetの概要を把握するだけであれば、サンプルコードをもとに進めることはできるのですが、より丁寧にDevNetのエッセンスを汲み取ろうとすると、Pythonの習熟が大きなハードルになってしまうようです。弊社としてPythonの入門コースの用意はしているものの、それとは別に、DevNet専用のネットワークエンジニア向けのPython入門コースを用意する必要があると感じているところです。
――通常のPython入門と切り分ける必要があるというのは、なぜでしょう?
吉田:通常のプログラム入門では文法から学習します。そうすると、実務との関連性が分かりにくいため、なかなか興味をもって学習を進めることができません。今回、DevNetというシスコ製品を動かしながらプログラミング言語を学習していく道筋が開きましたので、「これまで自分が手入力していたコンソールのコマンドを、Pythonに置き換えたらどうなるのだろう?」と確認しながら学習を進めることができるのではないかと考えています。
――確かに、そのほうがネットワークエンジニアの方にとってゴールのイメージがしやすく、スムーズに入っていけそうです。まだDevNet認定コースはスタートされたばかりということですが、今後どのような展開を予定されていますか。
日鷹:今年度中はDevNet認定コースを担当できるインストラクターを増やすところから始め、企業研修としてもご活用いただけるよう、認知度を高めていきたいです。
吉田:まずは、先ほど申し上げたPythonのファーストステップをクリアするためのDevNet対応プログラムを強化することと、弊社ではDevNet以外にもインフラの自動化や管理のコースも提供していますので、既存のコースとDevNetをうまくつなげられるような研修プログラムの作成・提供を目指していきたいと考えています。
――なるほど。では最後に、シスコとしてDevNetに関する直近の動きや、今後の展望を教えていただけますか。
土屋:今年の2月に、弊社のお客様やパートナー企業、学生の方に参加いただいて、2日間にわたるDevNetのアイデアソン&ハッカソンを初めて開催しました[3]。また、シスコ社内でもアジアパシフィック全体で同様のコンテストを開催し、DevNetのユースケースを考えてみる取り組みを始めています。そのなかでは、ショッピングモールのトイレに行列ができるのを解消するために、センサーで行列の人数を検知して、空いているトイレに行くとクーポンが発行されるような仕組みなど、さまざまな分野で面白いアイデアがたくさん発表されました。このようなシスコ製品だけではなく、サードパーティ製品と連携して、さまざまなところで自動化・最適化を図り、お客様のビジネスに貢献できる事例をどんどん増やしていくことが重要だと考えています。DevNet認定もこれまでのCCNA・CCNP・CCIE認定と同様にスタンダードにしていけるよう、今後もいろいろな取り組みを進めていく予定です。
注
[3]: 【参考】Cisco Japanブログ「DevNetアイデアソン&ハッカソン 2020 東京 開催しました!」前篇・後篇