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組織をつくるHRデザイン学科 | 第2回

「オンボーディング」のフレーム――実効性のある4つの取り組み

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 本記事では、HR領域の最重要テーマの1つである、中途採用者の「オンボーディング」を採り上げています。第1回では、オンボーディングとはそもそも何か、そしてその導入が、今なぜ求められているのか、その背景などについてお伝えしました。今回は、オンボーディングプログラムを検討するための「フレーム」と、そのフレームに基づく施策の一例について、事例も交えつつご説明します。

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オンボーディングプログラムには4つの取り組みがある

 オンボーディングプログラム(以下、EOP:Employee Onboarding Program)には「4つの取り組み」で構成されるフレームがあります。必要だからと、中途採用者が喜びそうなことをとにかく打ちまくる、というわけにはいきません。EOPを展開する労力も発生するわけであり、ピンポイントで無駄のない施策が求められます。EOP先進事例の収集分類、そして現実的な施策への落とし込みを加味すると、以下で説明する4つの取り組みが最も実効性があると考えます。

①Culture Onboarding(カルチャーオンボーディング)

 中途採用者が、入社前に一番の不安に思うこととは、新しい組織と「ウマが合うか」ということ。前職のカルチャーに慣れ親しんでいる中途採用者が、最初から自組織のカルチャーに完璧に馴染むということはありません。潜在的に、カルチャーのギャップや、それをつかめないことに悩み、実力を発揮できずにいる中途採用者は多く存在するのではないでしょうか。そのような課題の払拭を目的に、会社独自の文化を理解、共感してもらうための取り組みが「カルチャーオンボーディング」です。

 この話をすると「ウチは明確なカルチャーの定義ができていないから無理だ」と反応される方が必ずいますが、心配には及びません。人がそこにいる以上、カルチャーのない企業はそもそもありません。中に居すぎてそれに気づいていないか、言語化できていないかのいずれかです。また、それは中途採用者に対して、「会社をよく見せる」ためのものではなく「実態を伝える」ためのものなので、格好つけたものである必要はありません。

 効果的なカルチャーオンボーディングを実現するために、重要な論点が3つあります。1つ目の論点は「カルチャーとして、何を言語化/定義するべきか」ということです。言葉として解釈の幅が広いから見失う。何となくこうかな? とするのではなく、いくつかの切り口から、どこに「自社らしさ」が潜んでいるのかを棚卸ししてみることが重要です。ここの詳しい話は、次回にとっておきます。

 2つ目の論点は、いろいろなカルチャー要素の中で「何を社員としてのMUSTにするか」ということです。「自社らしさ」について議論をすると、きっといろいろな要素が出てきます。実状として、それらを伝えることがオンボーディングなのですが、それらの要素の中でも「事業環境が変わろうと普遍」であり、かつこれに共感できないと「入社しちゃダメ」という、カルチャーの柱となるものがきっとあるはずです。他の要素は、まあ許容してくれそうだし、合わせてくれそうでも、その柱の部分だけは完璧に共感してくれないとダメ、というものがあれば、それは採用の段階から明示的に伝えるべきでしょう。こういう仕分け作業ができていますか?

 3つ目の論点は、それが実際に具現化されている事業活動や、社員から発せられる言葉で、「いかにリアリティを感じさせるか」ということです。新卒相手ならいざ知らず、本人の前職も含めて、会社に関するさまざまな情報に触れている中途採用者は、その語られているカルチャーが本物か否か、疑いの目で見てくるものです。ですので、できるだけさまざまな角度で、カルチャーが具現化されている裏付けを伝える必要があるでしょう。

②Social Onboarding(ソーシャルオンボーディング)

 社員とその組織を「固い絆」で結び付けるものは、カルチャーだけではありません。その組織に属している同僚との「人間関係」や「組織内コミュニティへの一員化」も欠かせない要素でしょう。仮にカルチャーにギャップがあっても、人間関係が良ければカバーされる可能性があります。逆に、カルチャーにフィットしていても、人間関係が悪ければ、恐らくそれで終わりでしょう。まずは、いち早く組織から迎え入れられている感覚を持たせ、そしてその組織に溶け込ませるための取り組みが「ソーシャルオンボーディング」です。

 その点について、中途採用者はとかく放置されがちです。新卒と違って、中途採用者はコミュニケーション力を携えた大人であるし、人間関係の構築などは本人に任せていれば問題ない――という期待なのか、それを言い訳にしているのかは分かりませんが、とにかく人事セクションがそれをサポートしているというケースはほとんど聞きません。

 また、新卒には「同期」というコミュニティが必ずできますが、中途採用者はゼロから開拓していくしかありません。彼らは、ある役割を期待され入社しています。本人は、早く成果をあげようと気負う気持ち、そして周りからは奇異のまなざし。そんなプレッシャーを感じ、どうしても孤独になりがちです。それは仕組みでサポートするべきでしょう。

 最も日本的であり伝統的なサポートの施策は「歓迎会(飲み会)」でしょう。やらないよりはマシでなのしょうが、多くのケースは「セレモニー」としてこなすだけで、本気で人間関係構築を目的に取り組むケースはあまりなさそうです。

 ではここで、ソーシャルオンボーディングを効果的に進めるためのポイントを2つ挙げておきます。1つ目は「初日の迎え方にこだわること」です。行動経済学では「プライミング効果」と呼ばれ、最初の印象が後々の判断や行動に影響を与える心理があります。最初に「ここはこんな組織だ」「自分はこんな風に扱われているんだ」とネガティブな印象がインプットされると、何かの出来事が生じたときに、それにひもづけて納得されてしまいます[1]

 2つ目のポイントは、先ほどの述べた「人間関係」の構築を支援するために、「人とつなげる仲介人をアサインすること」です。その話をして思い浮かべるのは、きっと「メンター」でしょう。概念的にはかなり一般化しているので、「〇〇さんのメンターはお前な。頼むで」といった感じで、かなりカジュアルに運用されているのが実態です。

 しかし、メンターの本来的な役割や必要なスキルについて、皆さん、正しく理解しているでしょうか? メンターは「何かあったときに相談に乗る人」くらいの捉えられ方が最も一般的かと思いますが、役割として最も重要なものは、そういう受け身の姿勢ではなく、積極的に「人につなげてあげること」であると考えています。プライドを持って新しい会社に乗り込んで来ている人が、「会社の誰かを紹介してください」なんて情けないことを言えるわけがありません。もちろん、メンターでなくても積極的に人とつなげてあげましょう。

[1]: 私自身も、一度転職の初日にぞんざいな扱いを受け、そのときのイヤな記憶がいまだに残っています。今の会社ではないですよ(笑)

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この記事の著者

楠本 和矢(クスモト カズヤ)

HR Design Lab. 代表 兼 博報堂コンサルティング 執行役員。「マーケティングとHR領域の融合」をテーマに、現場での実践に基づいた様々なHRソリューションを開発提供している。現在は、組織の創発力強化・生産性向上を目的とした取組みに注力。また博報堂グループ内での実績No.1ビジネス研修講師でもある...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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