マイナビは、既卒者を対象とした「マイナビ 2020年度既卒者の就職活動に関する調査」を発表した。本調査は、「マイナビ2021」会員のうち、大学・大学院などをすでに卒業している就職活動者(=既卒者)を対象に実施。調査期間は2020年9月14日~9月28日で、263人(文系202人、理系61人)から回答を得ている。
既卒者の内定率は34.4%で、前年より8.9ポイント減少した。これは、現役学生の内定率(77.6%:21年卒8月末)と比較すると、半数を下回っている。さらに、現役学生と既卒者の差は昨年より広がっており(今年:43.2ポイント、前年:39.3ポイント)、活動に苦戦する姿が浮かび上がってきた。新型コロナウイルス感染拡大を受け、今年は採用活動の遅れにより内定出しが後ろ倒しになっているが、既卒学生はさらに影響を受けていることが分かった。
また、7割の学生が、新型コロナウイルス感染拡大が自身の就職活動に何らかの影響があったと回答した。既卒者は周辺からの情報が途絶えがちになるため、対面型の情報収集機会がより重要になるが、今年は新型コロナウイルスの影響でその機会が減少したため、既卒者の内定率を引き下げる一因になっていたのではないかと推察される。
内定企業の中で入社意思の最も高い企業の従業員規模は、「300人未満」の合計が51.0%で、前年比14.7ポイント増と大幅に増加し、中堅中小企業中心に内定を得ていることが分かる。
内定保有者の今後の活動では「内々定先に満足したので終了する」が52.7%(前年比18.4ポイント減)と減少し、「不満ではないが他の企業も見たいので続行する」が31.0%(前年比14.2ポイント増)と増加している。まだ活動終了の決断を行える心境にまで至っていない内定保有者が、例年に比べ多いことがうかがえる。
現役時代より活動量を増やした学生と、逆に活動量が減ってしまった学生では、内定率に10ポイント以上の差がついている。活動量が減ってしまった学生のコメントでは、在学生と異なり、周りの就活生の状況が見えないことや、Web選考などに戸惑う学生の声、新型コロナウイルスに対する不安の声が散見された。
「在学中の就職活動に比べて、卒業後の就職活動では活動量に変化はありましたか」の質問に対して「活動量が減った」と回答した理由(自由記述)
- 【その他/私大/福岡県】在学中とは違い周りの就活生の状況が見えず、不安や焦りはあるが危機感が薄れていたため。また、去年とは違いコロナによりウェブでの選考が増え戸惑いがあったため。
- 【関東/私大/神奈川県】有給や夏季休暇などの休みがないため平日の説明会が受けられなかった。また、新型コロナウイルスの影響もあり実際に企業に行くことが難しかった。
- 【関東/私大/東京都】方向性に自信がなくなった。コロナで活動が鈍った。
- 【関東/私大/東京都】在学中は自己分析も企業研究も不十分でしたが、とにかく行動した。しかし、今年度はコロナの影響で活動を中断し、怠けてしまっていた時もあった。既卒ということもあり、選考がなかなか進まなかったため。
- 【関東/私大/神奈川県】コロナが怖い。既卒という点で自信をなくし精神的に鬱になった。