パーソル総合研究所は、アンコンシャス・バイアスの実態を定量的に明らかにし、企業における人材マネジメントの最適化に資することを目的に、①人事評価面、②マネジメント職登用面、③中途採用面と3回調査を実施。その調査結果をまとめて発表した。
調査結果は以下のとおり。
①人事評価におけるアンコンシャス・バイアス
同じ目標を持つ複数の部下に対して人事評価を行うにあたり、最も強いバイアスは「対話頻度」で、対話頻度が多いほど評価にプラスの影響があった。次に強いのは「年齢」で、年齢が高いほど評価にマイナスの影響があった。人事評価の判断に与える間接的要素全体の影響を100とすると、上司との「対話頻度」による影響の割合は40.2%、「年齢」は24.0%となる。
②マネジメント職登用におけるアンコンシャス・バイアス
マネジメント職登用に直接影響する条件が同じ部下のうち、誰をマネジメント職に登用するか判断するにあたり、最も強いバイアスは「年齢」で、年齢が高いほど登用にプラスの影響があった。「人事評価」の判断では年齢が高いほどマイナスの影響があったが、登用では逆に年功的になるバイアスがうかがえる。「年齢」の次に強いのは「出身大学の偏差値」で、偏差値60程度までは高いほど登用にプラスの影響が見られた。
登用の判断に与える間接的要素全体の影響を100とすると、「年齢」による影響の割合は26.7%、「出身大学の偏差値」は20.3%となる。自分(上司)と部下との「対話頻度」は15.8%と、人事評価だけではなく、登用でも相当程度影響がうかがえる。部下の経験部門数は12.6%で、経験部門が多いほど登用にプラスの影響。
③中途採用におけるアンコンシャス・バイアス
同じ経験・スキルの中途採用候補者を選ぶにあたり、最も強いバイアスは候補者の「転職回数」、次に強いのは「年齢」となった。採用の判断に与える間接的要素全体の影響を100とすると、「転職回数」は21.7%、「年齢」は19.3%影響している。
「転職回数」についてみると、4回目の転職以降(過去3回転職済み)が大きくマイナス。「年齢」について見ると、35歳以降は効用値が大きく低下し、採用されにくくなっていることが分かる。「性別」について見ると、男性は子あり・子なしでほぼ差がないが、女性は男性と比べて大きく効用値が下がり、子ありが最も低い。男性のほうが多い職場では、女性であることのマイナスの効果はさらに大きい。業種別に見ると、製造業・建設業において女性であることのマイナスの効果が大きい。
④性別のアンコンシャス・バイアス
マネジメント職登用において、他の条件が同じであっても、女性名のほうが男性名よりも8.9ポイント登用意向が下がることが分かった(登用意向は女性名で47.8%、男性名で56.7%)。また、中途採用において、他の条件が同じであっても、女性名のほうが男性名よりも11.3ポイント採用率が下がることが分かった(採用率は女性名で62.3%、男性名で51.0%)。
なお、同調査の概要は次表のとおり。