ロバート・ウォルターズ・ジャパンは1月20日、日本を含めた、世界約30カ国、数千職種の給与相場を無料検索できるオンラインツール「給与調査2021」を公開。それと同時に首都圏、関西圏を中心に国内で働く会社員4062人と国内300社が回答を寄せたアンケート調査結果などをもとに、国内の採用・給与動向を発表した。
有効求人倍率は過去最高の1.6倍から2020年11月末には1.04倍まで低下したが、デジタル分野などでは依然としてスキル人材の不足が深刻になっている。長期化するステイホームの影響で、eコマース、ゲームのほか、eラーニング、医療テック、フードデリバリー関連のアプリ開発・Web開発、データサイエンティストなどの求人が増えている。また、テレワーク導入の急速な増加から、クラウドエンジニア、ネットワークエンジニア、情報セキュリティ関連の人材需要もいっそう高まっている。
賃金については、国内300社のうち66%の企業がビジネス現場の中核を担う中堅社員に「1~5%」またはそれ以上の賃上げを調整していることが分かった。これに対し、会社員4062人の4割が「1~3%」、次いで28%が「4~6%」の昇給を期待していると回答。コロナ禍の影響を受けての経済状況に鑑みて、双方の期待値が合致していることを示唆している。
ボーナスは、75%の企業が支給を予定している。最も多かった回答は、役職を問わず基本給1年分の「1~5%」。その一方で、会社員の22%が、自身にボーナス支給はないと見込んでいる。残り78%の会社員に「ボーナス額への期待値」を聞いたところ、最も多くの会社員(36%)が基本給1年分の「21%」のボーナス支給を期待していると回答した。この結果から、企業回答と会社員の期待値に大きなギャップがあることが分かる。
しかし、実際の採用現場ではスキル人材の需給バランスの都合から、売り手優勢の給与交渉が定番化している。そのため、21年度の人材争奪戦では基本給の引き上げが鍵となることが予想されると、ロバート・ウォルターズ・ジャパンは述べている。