あしたのチームは、全国の従業員数5名以上300名未満で、人事評価制度がありジョブ型雇用を導入していない企業の経営者と、マネジメントや人事評価をする対象となる部下が5人以上いる管理職を対象に、中小企業のジョブ型雇用に関する調査を実施した。調査期間は2021年1月27日~1月29日。300名(経営者150名、管理職150名)から回答を得ている。
自社でジョブ型雇用を導入していない経営者に対し、ジョブ型雇用についてどう思うか聞くと、「自社で導入したいと思う」3.3%、「興味・関心はある」52.7%となった。
ジョブ型雇用を「自社で導入したいと思う」または「興味・関心はある」と回答した人に、人事課題を聞いたところ、最も多い回答は「優秀人材の採用が難しい」42.9%となった。人材採用が難しい状況の中、ジョブ型雇用を取り入れ自社の雇用条件を多様化することで、優秀な人材を採用できる可能性を広げたいと考えていることがうかがえる。
ジョブ型雇用に期待することのトップ3は「成果の可視化による正当な評価」60.2%、「業績への貢献度に応じ適正な報酬を支払うこと」47.0%、「社員の成果に対する意識の変化」38.6%。ジョブ型雇用の仕組みにより評価や報酬決定方法がシンプルかつ合理的になることに経営者は魅力を感じるのではないだろうか。
直近1年で報酬(給与)に見合う成果を出していないと思っている経営者は62.7%。また報酬(給与)以上の成果を出していると思っている経営者は76.7%となり、6割以上が自社の社員の成果と報酬が合っていない状況を認識していることが明らかになった。成果を出している社員に適正な報酬を払いたいが、人事評価制度や給与決定の仕組みによって実現できず、成果と報酬がアンバランスな状態に悩んでいる経営者も多いのが現状だ。
管理職にも、部下の成果と報酬の状況を聞いた。その結果、経営者よりもさらに近い距離にいる管理職の目から見ても、社員の成果と報酬が合っていない状況があることが判明した。
コロナ禍において、成果を出さない社員を解雇したいと思うか、または思ったことがあるか聞いたところ、合わせて42.6%が成果を出さない社員の解雇が頭をよぎったと回答した。
経営者に対し、成果(出来高)に応じて給与額を増減させる賃金制度にしたいと思うか聞くと、8割近くが出来高払いにしたいと考えていることがわかった。
経営者と管理職に対し、自社で実現したいと思う、人事評価における給与の決め方を聞いた。その結果「業務の成果(数字的結果や行動量)を重視」が最多で、経営者は78.0%、管理職は71.3%の回答割合となった。「業務の成果(数字的結果や行動量)のみ」を合わせると、経営者・管理職ともに、業務の成果をメインとした給与の決め方を実現したいと思う人が8割を超えた。
中小企業において現在ジョブ型雇用を導入していない理由は「業務を細かく分けられないから」40.0%が最多。少ない人数でマルチタスクをこなすことの多い中小企業では、ジョブディスクリプション作成に必要な業務の切り分けや成果の定義づけが難しいようだ。
経営者にジョブ型雇用について知りたいことを聞くと、ジョブ型雇用を導入するメリットとして、従来の成果・評価の決め方や給与の決め方を刷新できると期待していることがうかがえる結果となった。