パーソルキャリアの転職サービス「doda(デューダ)」は、2020年4月の新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言前後に転職したビジネスパーソン約600人を対象に、転職理由について調査し比較した結果を「転職理由トップ10」として公開した。調査期間は2020年8月。
緊急事態宣言前(2020年1月~3月)の転職理由には、1位の「社内の雰囲気が悪い」(12.5%)に加え、4位「人間関係が悪い/うまくいかない」(5.9%)、9位「尊敬できる人がいない」(3.8%)といった、人間関係にまつわるものがランクインした。また、4位「ハラスメントがあった(セクハラ・パワハラ・マタハラなど)」(5.9%)、7位「個人の成果で評価されない」「雇用形態を変えたい」(4.5%)など、働く環境に関する理由も目立った。
緊急事態宣言後(2020年4月~8月)の転職理由は、1位に「給与が低い・昇給が見込めない」(9.7%)、2位に「スキルアップしたい」(8.0%)、7位に「他にやりたい仕事がある」(5.2%)がランクインし、緊急事態宣言前の人間関係や働く環境にまつわることから、将来を見据えた個人的な目標へ変化した。いずれも緊急事態宣言前より順位を上げている。その背景には、コロナ禍で会社が業績不振に陥り給与が下がった、あるいは「このままこの会社にいてよいのか」といった不安が生じたことが考えられる。3位タイに「業界・会社の先行きが不安」「倒産/リストラ/契約期間の満了(会社都合での雇用終了)」(7.3%)が並んでいるのも、コロナの影響を反映しているといえるだろう。
一方で、緊急事態宣言前に転職理由の1位だった「社内の雰囲気が悪い」は、圏外(12位・3.1%)となった。4位だった「人間関係が悪い/うまくいかない」(5.9%)は6位に、9位だった「尊敬できる人がいない」は圏外(20位・1.4%)となり、人間関係や働く環境にまつわる理由は順位を落とした。人間関係に関する理由の順位が下がった要因の一つとしては、コロナ禍にリモートワークの拡大や、会議や飲み会が削減されたことにより、対面で生じる人間関係の悩みが減少したことが考えられる。
さらに、コロナ禍という未曽有の事態に直面したことで、将来を見据えて理想の働き方を追求する機運が高まった結果、7位「他にやりたい仕事がある」(5.2%)、9位「働く場所を変えたい(勤務先が遠すぎる・近すぎる/U・Iターンしたい)」「不規則な勤務をやめたい/土日祝休にしたい」(4.2%)という転職理由も、緊急事態宣言前に比べてランクを上げた。