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入社後の定着と活躍を見据えた中途採用戦略 | 第2回

中途採用の落とし穴 経営者から現場まで一貫した採用意識の重要性

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 貴社では、経営層・人事・現場・採用担当の間で、中途採用に関する意識合わせがしっかりとできているでしょうか。どれだけの方が「できている」と回答されるか分かりませんが、採用意識のずれは必ず起きていると思っていただいたほうがよいでしょう。それは、あなた自身や所属企業への批判ではなく、2人以上いれば認識相違が起きるものだからです。採用の意識合わせには、それぐらいの疑念を持ち、十二分な対策をしましょう。

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意外に気づかない採用関係者間の意識のずれ

 採用のミスマッチを防ぐことを目的に、候補者との意識合わせに注力している企業は多いと思います。しかし、意外と見落とされているのが、「企業内での関係者の意識合わせ」です。実際にどのようなことが起きているのでしょうか。まずは事例を2つご紹介します。

事例1. 関係者(社長・人事・現場・採用担当)がみな違う方向を向いていた

 まずは、従業員数千名の大手外資系企業の事例です。この企業では、社長、人事、現場(部門担当者)そして採用担当の4者が、異なる方向を向いて採用を行っていました。

 社長は中長期的な経営戦略の中で、次世代のリーダーになる人材を採用したいと考えていました。人事部長は、現在の採用方法のままでは次期リーダーを採用することは難しいと理解していながら、これまでの採用方法に大きなテコ入れができずにいました。現場は、目の前のプロジェクトを進めることを最優先に、必要なスキルを持った人材を採用したいと採用担当者へ伝えていました。

 そして、採用担当者は、社長・人事・現場からそれぞれ異なる採用のオーダーが下りてくるので、誰を採用したらよいのか、どのような人にアプローチしたらよいか分からず、困り果てていました。また、採用方針も予算も不明確な状態のまま、早く採用してほしいという要求は大きくなり、片や人材紹介会社からは多数の候補者の推薦が届くため、判断に苦しむばかりでした

 現場で選考のスクリーニングをしていた社員は社長の採用意向など知る由もなく、これまでどおりジョブディスクリプションの要件に合うかどうかを判断基準としていました。そのため、社長が求めていたような次世代のリーダーの条件に合うような人が応募してきても、誰にも気づかれず、いつの間にか落とされる状態になっていました。

どのように解決していったか

 会社規模のこの大きな問題を解決するために、同社は弊社の協力も得つつ、さまざまな施策を行いました。

 まず、社長に「どんな会社を作りたいのか」と、その実現に必要な企業戦略を改めて考えてもらいました。そこから、目標達成のために必要な人事・採用戦略へ落とし込み、その内容を社長から人事と採用担当者に伝えてもらいました。併せて、現場にもメッセージを出してもらいました。これにより、社長の考えや目指している会社のあり方、そのための採用方針が明瞭になり、全員の目線を合わせることができました。

 次に、現場レベルで起きている問題の解決に着手しました。採用担当者と人材紹介会社から昨今の転職市場、企業が求めている候補者の人材プールの状況などについて現場に説明し、中途採用市場に対する認識の擦り合わせを行いました。

 採用担当者へは、弊社から、同社が決定した採用方針に基づいて採用を行うためのアドバイスをしました。具体的には、どのような視点で職務経歴書(レジュメ)を見るべきか、面接でどのような質問をするべきかなどを確認しました。また、適切なジョブディスクリプションを再作成するとともに、会社の想いや魅力など、候補者向けに発信するメッセージも一新しました。

 最後に、パートナーとしている人材紹介会社に、今後の採用方針に関するティーチバック(説明や指導)を行い、リクルーターが採用担当と同じ目線で候補者を選定できるようにしました。

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事例2. 社長と現場の期待の差で、中途入社者が早期離職

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この記事の著者

狐崎 壮史(キツネザキ タケシ)

エンワールド・ジャパン株式会社 人材紹介事業部 営業統括部長/ヴァイスプレジデント海外営業などを経験した後、2006年にイギリス系の人材紹介会社にて人材紹介のキャリアをスタート。金融業界をはじめ、製薬・ヘルスケア業界、リテール業界・製造・流通、インターネット業界など幅広い業界における社内ITポジショ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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