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特別寄稿《人事データ活用》| 活用の要点・進め方

人事データ活用の壁を乗り越える 3つのポイントと5つの実践ステップ《後編》

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 本記事では、なぜ今人事データ活用に注目が集まっているのかを整理し、人事データ活用を阻む3つの壁とそれを乗り越えるための3つのポイント、そして3つのポイントを実践するときの5つのステップを、前後編でご紹介しています。前編では、人事データ活用を阻む3つの壁と、それを乗り越えるための3つのポイントまで話を進めました。後編である今回は、壁を乗り越えるための3つのポイントを実践する5つのステップを解説します。

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本記事の前編はこちらから。

具体的な進め方、5つのステップ

 人事データ活用を阻む壁を乗り越えるための3つのポイントを実践するには、下記の5ステップを段階的に実現していくことを推奨します。大切なのは、各ステップの終了時に必ず効果測定を行い、課題の洗い出しと検討・改善を繰り返しながら、実施コストや難易度がより高い次のステップに進むべきかどうかを判断することです。

Step1.【人事部門に向けて】人事データの定義〜収集〜出力サイクルの定着

 まず、人事部門が、業務で必要な人事に関する指標やデータを参照できるようにします。具体的には、年齢構成、男女比、勤続年数、管理職割合、休職率、離職率推移といった基本的な情報をいつでも把握できるようにするとともに、健康経営(ホワイト500)や女性活躍推進指標(なでしこ、えるぼし、くるみん)などの公的開示指標との比較を、人事部門でできるようにすることが現実的な目標となるでしょう。

 これは、単なる業務効率化だけではなく、人事部門のKPI測定としても有用であり、その数値の変化を人事部員の誰もが把握できるようにすることは部門運営にとって重要です。

 ただし、このステップではデータを定義し、収集し、出力するという、データ活用の型を定着させることを最大の目的とします。このステップをおろそかにすると、より価値の高いステップ2以降の実現につながりません。ツールについても、まずは既存のツールを使うことにして、データの整備と収集を重点に置くのがよいでしょう。

Step2.【経営戦略部門に向けて】参照できる指標・KPIとデータの利用手段の決定

 次に、経営・戦略部門が、業務で必要な人事に関する指標やデータを参照できるようにします。実施内容はStep1とほぼ同じになると考えられますが、参照できる指標・KPIを何にするか、何に準拠させるかについては、経営戦略面での有用性とともに利用者と考える必要があるでしょう。具体的には、コーポレートガバナンス・コードやサステナビリティレポート、統合報告書などで使われている人事指標や、レポート内のメッセージを定量的に補足する指標がターゲットとして考えられます。

 また、現状が分かるだけでなく、目標とどれだけ乖離しているのか、乖離を発生させている要素は何か、などを分析できるのが望ましいでしょう。

 このほか、このステップでは、経営戦略部門のどのメンバーが、どのようにデータの確認・把握、データの出力、報告レポートの作成を行うかを考慮する必要があります。さらに、今後の展開も加味したBIツールの比較検討や導入判断の開始、部分的な導入も視野に入れたいタイミングでもあります。

STEP3.【現場部門に向けて】データの可視化(ダッシュボード化)

 Step3では現場部門、特に部門長や現場管理職が、業務で必要な人事に関する指標やデータを参照できるようにします。具体的には、部門全体の状況を把握したり他部門と状況を比較したりするためのサマリー数値を参照できるようにした上で、個別の状況をドリルダウンできる仕組みも提供していくことになります。

 その過程では、現場部門のデータ利用者とメリットのあるデータ提供について、議論を重ねることになります。したがって、いきなり全社展開するのではなく、協力が得られ、実施にメリットのあると考えられる部門から随時実践していくのが現実的な進め方といえます。

 また、いきなり専用ツールで展開したりせず、スプレッドシートのような扱いに慣れた形でサンプル的に実施していくことも重要です。徐々にツール化、システム化していくことが現場との齟齬を生まない、動かないシステムとならない進め方であると考えます。

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この記事の著者

伊藤 裕之(イトウ ヒロユキ)

株式会社Works Human Intelligence カスタマーサクセス事業本部 シニアマネージャー。2002年にワークスアプリケーションズ入社後、九州エリアのコンサルタントとして人事システム導入と保守を担当。その後、関西エリアのユーザー担当責任者として複数の大手企業でBPRを実施。現在は、17...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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