2タイプの採用過程:正社員登用型と同邦紹介型
留学生の新卒採用で活かせる共通ポイントを導出するため、筆者は、本連載で紹介してきた3ケースに加えて、筆者の専門ゼミに所属し、コロナ禍の2022年3月の大学卒業後、株式会社壱番屋(カレーハウス CoCo壱番屋 代々木駅西口店)に就職したベトナム国籍のグエン・ズイ・マンさん、株式会社春光(派遣業等)に就職したネパール国籍のチャリセ・ヤマラルさん、株式会社黄金(小売業等)に就職したネパール国籍のライ・ユニスさん、の3名にもご協力いただきました。
彼ら・彼女ら6名が正社員になるまでの過程を見てみると、①正社員登用型、②同邦紹介型の2タイプに大別できます。
①正社員登用型の共通ポイント
正社員登用型は、「アルバイト先で就職機会をもらった」などのタイプです。このタイプで就職したのは、ファム・ミン・チャンさん、グエン・ズイ・マンさん、ライ・ユニスさんの3名です。図1~3は、3名が正社員として就職先が決まるまでの過程をそれぞれ図示したものです。
図1~3に示した過程からは、次に示すような共通ポイントが導出されます。
図1~3から導出された共通ポイント
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アルバイトスタッフの募集の相談は、大学2年生以前に行っていた
⇒【図1-①】【図2-①】【図3-①】 -
アルバイトスタッフの教育は、社員(マネージャー、店舗責任者、店長など)によって2年以上行われていた
⇒【図1-②】【図2-③】【図3-②】 - 社員と採用担当者は、日本人であった
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社員は、選考などの前に正社員登用されるような支援(会社説明会の情報提供、就職(正社員の推奨)など)を行っていた
⇒【図1-④】【図2-④】【図3-③】 -
採用担当者は、社員による就職(正社員)の推奨や人物確認・適正確認などの情報を、大学4年生以降の選考前および選考時に把握していた
⇒【図1-⑥'】【図2-④】【図3-③】 -
採用担当者による選考は、主に面接や意思確認などであり大学4年生以降に行っていた
⇒【図1-⑥】【図2-⑤】【図2-⑥】【図3-④】【図3-⑤】
このような共通ポイントに加えて、正社員登用型で就職したファム・ミン・チャンさんの話も参考になるでしょう。彼女は、アルバイト先(すかいらーくが運営するレストラン「ガスト」)でマネージャーと日頃のコミュニケーションによって信頼関係を構築していました。また、アルバイト時代から働く職場環境として良いと思っていたこと、長いアルバイト経験の中で社員の仕事も確認できていたため、正社員になることに不安はなかったそうです。