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HRzine Day 2023 Winter セッションレポート | #2(AD)

人的資本開示にはタレントマネジメントシステムだけでは不十分 労務システムの機能も必要

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 2023年3月から一部の企業で人的資本開示義務化の流れを受け、その要ともいえる「データ活用」に関心が高まっている。そんな中、「HRzine Day 2023 Winter」では株式会社SmartHR プロダクトマーケティングマネージャー 佐野稔文氏が登壇。「データ活用からはじめる人的資本経営~一元化から分析・活用まで~」と題し、人的資本経営の潮流と具体的なデータ活用の道筋について語った。

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佐野 稔文氏

佐野 稔文(さの としふみ)氏

株式会社SmartHR プロダクトマーケティングマネージャー

京都大学大学院修了後、新卒でITベンチャー企業に入社し、業種・規模問わず幅広い企業に対するWebマーケティングのコンサルティングに従事。2021年にSmartHRに入社し、人事データベースの構築に関する機能と、蓄積された人事データの活用を実現する人材マネジメント機能の企画や仕組みづくりを行う。

人的資本が重要視される3つの理由

 「人的資本が重要視されてきている背景には、『投資家の関心の高まり』『欧米での人的資本開示の流れ』『日本の欧米追従の動き』の3点がある」と佐野氏は見解を述べる。1つずつ見ていこう。

人的資本経営が重視されてきている背景①:投資家の関心の高まり

 先進国の主要株価指数を経年で比較して見たところ、日本を除く他の国々は上昇傾向にあることが分かる。なぜ日本だけは横ばいが続いているのか。

 その大きな要因の1つが、「企業価値の源泉が有形資産から無形資産、中でも特に人的資本に変わっていること」だ。有形資産と無形資産の割合を示したグラフを見てみると、アメリカの無形資産の割合は年を追うごとに高まっており、2020年には90%を占めるまでになっている一方、日本はリーマンショックを機に無形資産の割合が大きく減少し、2020年になっても32%と低い状態でとどまっていることが分かる。

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 そこで生まれてくるのが、「企業価値と無形資産比率に相関があるにせよ、それが人的資本の価値向上が企業の価値向上に直結しているといえるのか」という疑問である。

 これに対し、佐野氏は「ヒトが中長期的な企業価値向上の源泉であるからだ」と回答する。その真意を明かすべく、佐野氏はプロダクトライフサイクルに話を進めた。

 プロダクトライフサイクルとは、製品が市場に投入されてから、寿命を終え、衰退するまでのサイクルを体系立てたものである。製品を市場に投入した段階の「導入期」、競合他社が増加し、売上と利益が急拡大する「成長期」、市場の成長が鈍化し、売上と利益が共に頭打ちになる「成熟期」、値引き競争が頻繁に行われ、売上も利益も減少する「衰退期」。これら4つから成るプロダクトライフサイクルがひと回りする期間が短くなるということは、市場の移り変わりが激しくなっているといえる。

 2007年2月に経済産業省が発表したアンケート調査によると、鉄鋼業以外のすべての製造業において、5年前と比較して主力製品のライフサイクルが短縮していることが分かった。

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 続いて、2004年11月に中小企業研究所が発表した「製造業販売活動実態調査」を見てみると、1980年代には3〜5年以上はあったヒット商品の製品寿命が、年を重ねるたびに短くなり、2000年代には75%が2〜3年未満になっていることも分かる。

 「ITやロボティクスなどの技術革新によって、新製品開発のスピードが向上していることや、デジタル化によって消費者の価値観が変化し、時代や自分に合った商品を世界中から探せるようになっていることが大きな原因だと考えられる。こうした傾向は今も変わらず続いていると考えるのが自然だ」(佐野氏)

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 このように事業環境が激変し、製品の寿命が短くなっている中で、中長期的に企業価値を向上させるためには、技術革新を生み出したり、時代は消費者の変化に伴ってビジネスを変化させたりすることが欠かせない。それらを実行するのは言うまでもなくヒトであるからこそ、「ヒトが中長期的な企業価値向上の源泉である」といえるのだ。

 そして、中長期的な投資・財産戦略において重視すべきものを問うたときに、「人材投資」と答えた投資家が67%と最も多かったのに対し、企業はわずか32%という結果も出ており、ここに大きな認識のギャップがあることも忘れてはならないポイントだろう。

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人的資本経営が重視されてきている背景②:欧米での人的資本開示の流れ

 人的資本開示に関する規制化については、EUでは欧州委員会、アメリカでは米国証券取引委員会がその舵を取っている。欧米諸国で人的資本開示の義務化や開示内容の指定が進んでいる理由は、先に挙げた「投資家の関心の高まり」があるからだ。

 そしてもう1つの理由は、「労働者保護」のためである。プロダクトライフサイクルが短縮していることからも分かるとおり、企業が労働者に求めるスキルや能力は目まぐるしく変化している。そうなると、企業は労働者への長期的な投資をしなくなるのは必然だ。2008年のリーマンショック以降、この傾向は顕著となっており、コロナ禍でさらに拍車がかかったといわれている。

 「最近、ビッグテック企業のレイオフが話題になっていますが、必要とするスキルや能力が変化している上に経営が苦しくなれば従業員が解雇され、労働者の経済的安全性が損なわれてしまいます。法律によって、企業に人的資本経営の実態を開示させることは、労働者保護の観点からも重要な施策と考えられているのです」(佐野氏)

 欧米諸国で人的資本開示の流れが加速する背景には、さらにもう1つ「企業の変革促進」の観点もある。アメリカのハーバード大学大学院の研究結果によると、企業の前向きな労働施策には、長期的な業績向上と相関関係があることが明らかとなっている。また、アメリカでは仕事に起因するストレスが国民の健康リスクの1位になっており、アメリカの産業全体に年間3000億ドル以上の損害を与えているといわれているそうだ。

 その一方、従業員の健康と安全、ウェルビーイングに努力している企業は、競合他社よりも優れた業績を上げ、コスト削減の恩恵を受けているともいう。「これらの事実から、企業の前向きな労働政策の変革を推進することはアメリカ全体の利益につながると考えられており、欧米では人的資本開示が進んできているのです」(佐野氏)

人的資本経営が重視されてきている背景③:日本の欧米追従の動き

 日本では2020年9月と2022年5月に経済産業省から、人材版伊藤レポートとその1.0が公開されている。さらに2022年8月には内閣官房から人的資本可視化指針が公開されており、2023年3月期の有価証券報告書から段階的に適用が開始される見込みとなっている。

 日本政府が求めているのは、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの要素に沿い、「独自性のある取組・指標・目標」と「比較可能性の観点から期待される事項」の2つについて人的資本情報を開示することである。中でも「男女間賃金格差」「女性管理職比率」「男性育児休業取得率」の3つについては開示が義務化されている。

 こうした人的資本情報の開示については、有価証券報告書の提出義務がある企業に課せられる方針で、対象企業は約4000社にのぼる。この開示義務化を皮切りに、日本でも人的資本開示や人的資本経営の流れが加速しているのである。

SmartHRで踏み出す人的資本開示の第一歩

 次に、佐野氏は人的資本開示を行う手順や人事データ整備について話を進めた。

 「まずはできるところから始めて、徐々にブラッシュアップしていくことが重要だ」と語る佐野氏は、「最初から完成度の高い人的資本情報の開示を行うことは非常に困難であるため、完璧を追い求めて取り組みが遅れてしまうことは絶対に避けたい」と警鐘を鳴らす。

 この進め方は国でも推奨されているものであり、人的資本可視化指針の中でも次図でも示されている。

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 最初に取り組むべきは①の「自社の人的資本、人材戦略を整理してみる」ことだ。これを分かりやすく分解すると、次の4つのステップに分かれるという。

  1. 現状の人的資本を把握する
  2. 人的資本の目標を決める
  3. ギャップを定量的に把握する
  4. 目標に到達する戦略を立てる

 「これら4つのステップのうち、2と4は企業によってやり方はさまざまだと思います。なぜなら、それらは経営戦略や事業戦略と密接に紐づくからです。他方、1と3はどの企業でもやり方はある程度決まってきます。従業員に関するデータを定量的に把握して、いつでもすぐに正しい情報が見られる状態にしておくことが大切です」(佐野氏)

 人事データの整備が重要であると分かっていても、実践するのは容易なことではない。業務や部署ごとにデータがバラバラでどこに何があるのか分からなかったり、記載方法がぐちゃぐちゃで整理に時間がかかったり、データの取り方や取得タイミングがまちまちで連続して使える項目が少なかったり……。ただでさえ人事・労務の業務範囲は幅広く、働き方改革関連法の法改正への対応や電子申請の義務化など、やるべきことは山積みである。

 そのような中で、人的資本情報の開示に向けて、タレントマネジメントシステムを導入した企業もあるのではないか。しかし、「雇用契約や入社手続き、社会保険手続きや給与明細、年末調整など、人事・労務に関する膨大な書類を紙で管理しているままでは、タレントマネジメントシステムのメリットは十分に享受しきれない」と佐野氏は指摘する。

 事実、タレントマネジメントシステムと合わせて労務システムも導入している企業とは、満足度に約1.4倍もの差が見られたのだという。

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 だが、「SmartHR」であれば、これらの課題をすべて解消することが可能だという。SmartHRは「労務管理業務の効率化」「人事データの収集・集約」「人材マネジメント」の3つの領域をカバーし、タレントマネジメントシステムと労務システムの機能を併せ持っているからである。

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  SmartHRにはさまざまな機能があるが、今回、佐野氏は人的資本の把握に利用できる「分析レポート機能」について紹介した。分析レポート機能は、入社手続きや社内申請、給与明細の配布などの際に、SmartHRに蓄積された人事データを簡単に集計・可視化できる機能である。

 分析レポート機能には、プリセットレポートとして、「労務系」「人事系」「勤怠・給与系」の3カテゴリー、10種類のレポートが用意されており、簡単な設定をするだけで、すぐに最新データのレポートを作成できるようになっている。

<プリセットレポート>
労務系
  • 働き方改革推進状況レポート
  • 行政報告レポート
  • 高齢者雇用状況報告用レポート
  • 障害者雇用状況報告書用レポート
人事系
  • 組織情報レポート
  • 採用・人員計画検討レポート
  • 人事評価レポート
  • 離職分析レポート
勤怠・給与系
  • 勤怠レポート
  • 給与レポート
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 株式会社はてなでは、採用強化や業務改善を目的にSmartHRを導入したところ、レポート作成に要していた時間が4時間からわずか15分に短縮されたり、入社手続きにかかる日数が10日から1日に短縮されたり、といった大きな効果が得られたほか、経営会議でも最新データの分析結果をもとに議論を行い、次のアクションにもつなげられるようになったという。

 クラウド型人事労務システムとしてだけではなく、タレントマネジメントシステムとしてもトップクラスの満足度を獲得しているSmartHR。「『Employee First.』をサービスビジョンに掲げる弊社では、人事・労務のご担当者様はもちろんのこと、経営者の方や従業員の方が本当に必要な仕事に集中して、気持ちよく働けるようサポートできるプロダクトづくりをしていきたいと考えています」と語り、佐野氏は講演を締めくくった。

SmartHR
労務からタレントマネジメントまで
労務管理クラウドシェアNo.1のクラウド人事労務ソフト

SmartHRは「労務管理業務の効率化」「人事データの収集・集約」「タレントマネジメント」の3つの領域をカバー。業務効率化をしながら最新の従業員情報を1箇所に集約・管理し、データを同期するだけで分析レポートを閲覧できます。

※デロイト トーマツ ミック経済研究所「HRTechクラウド市場の実態と展望 2022年度版」労務管理クラウド市場・出荷金額(2022年度見込)

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提供:株式会社SmartHR

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://hrzine.jp/article/detail/4654 2023/04/25 10:00

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