個別化・多様化していく従業員価値
2020年以降、パンデミックにより私たちの働く環境は大きく変化し、ニューノーマル時代において新たな働き方の常識も定着しつつある。そんな中、従業員が会社に求める価値も根本的な変化をしてきた。マーサージャパンは同社が発表したグローバル人材動向調査に、「従業員は“会社のために働く”のではなく、“会社と一緒に働きたい”と考えている。会社に求める関係は“リーダーシップ”ではなく“パートナーシップ”であり、従業員は自身のライフスタイル・価値観を中心とした柔軟な働き方に価値を見いだす時代になった」と記している。これまで年代別、職種別に従業員ニーズを測ってきた企業が従業員サーベイを行い、従業員個々のコンディションやニーズを数値で把握し、さまざまな人事施策・人事戦略に活かすようになった背景といえる。
また、ダイバーシティ推進に伴い、さまざまなバックグラウンド・価値観を持つ従業員たちによって職場が構成される時代になった。職場の多様化が進めば、職場で働く従業員のニーズも多様化していく。
このように、よりパーソナライズされた従業員ニーズを迅速かつ的確に捉え、ポジティブなEXを提供できる、すなわち従業員が求める「パートナーシップ」を築くことができるのは、経営層や人事部よりも、日常の業務を共にする現場のマネージャーたちではないだろうか。EX向上のキーを握るのは現場のマネージャーたちであることを認識し、組織的な戦略により、重要なロールを担うマネージャーたちのマネージャーエクスペリエンス(MX)の向上を図ることが重要といえる。次ページからは、EX向上をドライブするためのMXの要点と事例を記したい。