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インタビュー《人的資本経営》| 自社ブランディング

人的資本経営5つのキーワードへのSNS上の反応を分析 刺さる発信・避けるべき発信とは

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 人的資本経営は、従業員の能力やスキル、知識、モチベーションなどを最大限に引き出し、企業の競争力を高めるために重要な取り組みだ。しかし、その取り組みや情報発信が、正しく届き、評価されなくては意味がない。そこで、博報堂グループで企業の採用広報やマーケティング支援を担う株式会社No Companyでは、人的資本関連の情報がSNS上でどのように認識・評価されているかを分析。その結果を紹介するとともに、人的資本経営の展開に有効な発信のためのヒントを、同社 代表取締役の秋山真氏に語っていただいた。

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調査した人的資本経営5つのキーワード

 2022年8月、内閣官房・非財務情報可視化研究会より発表された「人的資本可視化指針」では、人的資産への投資は企業の価値や競争優位性の向上に不可欠なものとされている。それを受けて金融庁は、大手企業約4000社を対象に「女性の管理職比率」「男性育児休業取得率」「男女間賃金格差」について2023年3月度の有価証券報告書への開示の義務化についてルールを設定。情報を開示するだけでなく、課題の洗い出しや改善を図る必要があることを示唆した。

 しかし、企業が人的資本の情報開示に取り組む中で、何をどう開示すればいいのか、課題と見なして改善するべきなのか、戸惑うことも多いだろう。また、社内外に訴求する際に、それがどのようなイメージを持って受け取られるのか、企業ブランディングにどのように影響するのか、あらかじめ予測する必要も生じてくる。

 そこで、企業の採用広報およびマーケティング、ブランディング支援を行うNo Companyに、同社のソーシャルリスニングツール「THINK for HR」を用い、人的資本経営に関わる下記5つのキーワードについて、SNS(Facebook、Twitter)上での人々の反応を調査・分析してもらった。

  • 多様性(ダイバーシティ・DE&I)
  • 多様なワークスタイル(働き方)
  • キャリアラーニング・リスキリング
  • エンゲージメント
  • 心理的安全性

 当初、「ウェルビーイング」も調査候補としていたが、SNS上の反応が薄いということで今回の調査から外した。

 以降では、No Company 代表取締役の秋山真氏に語っていただいた調査・分析の結果を、キーワードごとにお伝えする。

秋山 真氏

秋山 真(あきやま しん)氏

株式会社No Company 代表取締役

2016年にスパイスボックス新卒入社。2年間デジタルマーケティング領域でプロデューサー経験を積んだ後、2018年に採用コミュニケーション事業部を立ち上げ事業部長に就任。SNS起点の採用広報ソリューション開発や企業のオンライン採用、採用DX化などを支援。2021年10月にスパイスボックスの子会社 株式会社No Companyを立ち上げ、代表取締役に就任。

調査の結果と分析

①多様性(ダイバーシティ・DE&I)

 男女や年齢などの属性に加え、価値観やライフスタイルなどの「多様性」に関しては、SNS上での反応の約半分が「女性の働き方」「男女別の働き方」に関するものだという。

 まず目立つのが、「女性の現実的なロールモデルがいない」というものだ。確かに多くの企業で「女性が働く様子」を紹介するコンテンツが発信されているが、“バリキャリ”などいわば「成功者」についてのものが目立つ。いわゆる“普通”の女性がどのように働いているかが分かりにくいというわけだ。

 そして、「産休のとりやすさ=女性活躍」という文脈で紹介されることについて、ネガティブに捉えられる傾向にある。理由は明らかではないが、もはや産休は当然の権利であり、出産・育児は必ずしも女性だけの問題でもない。さらには「女性=出産」が必然として捉えられることにも違和感があるといえるだろう。いわば本質的な女性活躍の文脈上で語られるには「そぐわない」と思われており、それを声高に語るほど“前時代的”という印象をもたれやすいようだ。

 男性の育休についても反応が多い。制度の導入は当然のこととして、「実際に取得した人たちのリアル」に対して支援・支持する反応が増えている。また、男性育休を阻む上司の発言などに対する反発も多く見受けられた。秋山氏は「男性産休のリアルなどは、個人ブログ・SNSでの情報発信は増えたが、企業として発信するところは少なく、もっと情報が求められているのではないか」と語る。

 その他に目立つのは、セクシャルマイノリティへの関心の高まりだという。企業に対して、ジェンダーを考慮した労働環境や働き方、コミュニケーションなどへの配慮を求める声が多い傾向があった。さらに細かいところでは、タバコやゴルフ、飲み会など、業務外・制度外でのコミュニケーションの場で仕事に関する重要決定や情報伝達がなされることに違和感を感じる人は多く、ライフスタイルやカルチャーによる分断という意味でダイバーシティの課題ともいえるだろう。

 秋山氏は「ジェンダーだけでなく、ライフステージや価値観、障害など、それぞれの事情やニーズに真摯に応えようという姿勢が重要」と語り、「いまだ“女性の働き方”ばかりに企業の関心が偏っている印象がある。女性といってもさまざまであり、男性もしかり。それ以上に、それぞれ一人ひとり異なる“多様性”に対応していくことが求められているのではないか」と評した。

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

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北浦 汐見(キタウラ シオミ)

都内のスタジオに勤務後独立。ポートレート、取材、料理撮影等、都内を中心に活動中。

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市古 明典(HRzine編集長)(イチゴ アキノリ)

1972年愛知県生まれ。宝飾品会社の社員、辞書専門編集プロダクションの編集者を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、2017年7月にエンジニアの人事...

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