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HRzine Day(エイチアールジン・デイ)は、人が活き会社が成長する人事のWebマガジン「HRzine」が主催するイベントです。毎回、人事の重要課題を1つテーマに設定し、識者やエキスパードが持つ知見・経験を、参加者のみなさんと共有しています。

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2024年2月1日(木)12:00~17:40

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人事労務管理システム<br>主要製品スペック一覧 2023

人事労務管理システム
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イベントレポート《人的資本経営》| 人的資本経営の進め方

働き方改革からつながるSCSKの人的資本経営 そのKPI設定・進め方のポイントとは

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 人的資本経営を推進するうえで、エンゲージメント、ダイバーシティ、人材育成といった重要な指標はいくつかある。その中でも、労働慣行の改善は人的資本経営の流れが生まれる前から、働き方改革と称して注力していた企業は多い。フォレストコンサルティング経営人事フォーラムの松井勇策氏は、人的資本経営の実務では、これまで取り組んできた働き方改革の流れをくんで、中長期の計画を立てることが重要だと提言する。本記事は6月に人事・労務領域のDXをテーマに開催された「SmartHR Connect」から、松井氏がSCSK株式会社の松崎里枝子氏と登壇したセッション「人的資本経営における雇用環境の戦略的な整備 ~ダイバーシティ戦略と開示・労務制度との関係~」の模様をお届けする。

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登壇者

松井 勇策氏

松井 勇策(まつい ゆうさく)氏

フォレストコンサルティング経営人事フォーラム代表、社会保険労務士・公認心理師

情報経営イノベーション専門職大学 客員教授(専門領域:人的資本経営 雇用実務)人的資本の開示について支援コンサルティングや実務セミナーなどを多数行っている。その他、人事労務知識を展開した先進的な課題対応・上場支援・HR商品や事業の開発支援が専門。東京都社労士会先進人事経営検討会議(自主研究組織)議長。人的資本の国際資格、GRIスタンダード修了認証・ISO30414リードコンサルタント保持。名古屋大学法学部卒業後、前職のリクルートにて東証一部上場時の事業部の体制整備の責任者を経験。著作「人的資本経営と開示実務の教科書」など多数。日本テレビ「スッキリ」雇用問題コメンテーター出演経験あり。

松崎 里枝子氏

松崎 里枝子(まつざき りえこ)氏

SCSK株式会社 人事・総務本部 労務部所属 HCM社会保険労務士事務所 代表

人事システムの開発・導入コンサルタントを経験し、2008年にSCSK株式会社の人事部門に中途入社。「働きやすい、やりがいのある会社」を目指してスタートした働き方改革を推進し、9年連続での「健康経営銘柄」の選定、日経SmartWork5つ星の同社選出にも大きく貢献。柔軟な働き方を実現する「どこでもワーク制度」、エンゲージメントを向上させるWell-Being推進などを担当するとともに、労務管理・就業規則・安全衛生・ハラスメント対応など人事労務全般の業務に従事し、グループ会社支援なども行う。その傍らで2022年にSCSK社の副業・兼業制度を利用して社会保険労務士として独立開業。プライベートでは5歳になる娘の育児と、社会保険労務士という柔軟な働き方を実践して活躍中。現在はSCSK社の勤務を週3日に変更し、2日はHCM社会保険労務士事務所の代表として活動を行っている。

SCSKの人的資本経営の原型は働き方改革にあり

 実際のところ、人的資本経営をどのように進めていくべきか、手探りの企業は多いのではないだろうか。松井氏はまず手探りになってしまう理由について、人的資本経営は「①企業の価値評価とESGを重視する視点」で語られること、「②タレントマネジメントや海外流の人事制度を重視する視点」で語られること、「③国内の人事労務課題や制度構築・改善を重視する視点」で語られることがあり、それが現場担当者を混乱させているからだと説明した。

 また、よく話題に上がる「リスキリング」などへの取り組みだけが人的資本経営ではなく、先の③に含まれることが多い、働き方改革の成果や女性活躍などのダイバーシティ戦略も含めて考えることが重要であると強調。そのうえで、SCSKの人的資本経営の状況を聞いた。

 「SCSKでは、人的資本経営のKPIを社員のパフォーマンス発揮度や働きがい、働きやすさに設定しています。ITサービス企業として新たな価値を提供し続けるため、技術の変遷や事業環境の変化にかかわらず求められる重要な指標だと捉えています」(松崎氏)

 このKPI設定の礎になっているのが、SCSKが2013年より着手した働き方改革だ。残業の削減と有給休暇の完全取得を目標に掲げた「スマートワークチャレンジ」や、2015年から開始した健康に良い行動習慣の定着と健康リテラシーを高めるための「健康わくわくマイレージ」は、いずれも組織文化として定着しているという。

 「スマートワークチャレンジは、全社の平均残業20時間以下と年次有給休暇の100%取得がKPIとなっています。環境整備として、まずは働き方の意識や行動を変えるためにフレックスタイム制の拡大や裁量労働制の導入など、働き方に関する制度の柔軟性を高めました。2015年からは『どこでもワーク制度』と合わせて推進することで、働く場所と時間の柔軟性をさらに高め、生産性の向上を図りました」(松崎氏)

大切なのは「会社の本気度」を伝えること

 しかし、フレックスタイム制や裁量労働制、どこでもワーク制度を導入したからといって、スマートワークチャレンジや健康わくわくマイレージが組織文化として定着するものだろうか。定着のためにどのような取り組みを行ったのか松井氏が質問すると、「会社の本気度・熱量をしっかりと社内外に伝えることが重要でした」としたうえで松崎氏は次のように答えた。

 「たとえば、残業削減と聞いて、社員が経費削減のための取り組みだとマイナスに受け取らないように、削減した残業時間や有給休暇の取得状況に応じて、インセンティブを支給しました。削減によって浮いた残業代は社員に還元する仕組みです」(松崎氏)

 ただ、それでも社員の意識を変え、組織文化として定着させるのは難しかったと松崎氏は明かす。

 「売上利益が低下するのではといった懸念や、働く時間が短くなることで成長機会が奪われるのではないかなど、さまざまな反応がありました。また、優秀な技術者が難しい仕事を抱え込んでしまうことも課題でした」(松崎氏)

 では、何をすることで現場の意識を変革できたのだろうか。松崎氏は「まずは経営陣がリーダーシップを発揮して、働き方改革の重要性を伝えることが大切でした」と述べた。

 「月に2回、役員層が集まる経営会議で人事が残業時間などを報告し、全社員にも共有しました。また、状況に応じて現場をフォローすることで、社員は経営陣のメッセージをダイレクトに感じ取り、かつ、前向きに働き方改革を推進できる体制を整えました。これによって、社員の働き方改革への理解が深まり、意識の変革につながったと思います」(松崎氏)

 ほかには、働き方改革に関わる全ての社員が意見を持って参画することが重要だと考え、アイデアコンテストの実施や改善度合いの高い工夫を募集し、優れたアイデアや取り組みを社内で表彰した。

 こういった取り組みにより、社員の働き方改革に対する抵抗感が減り、社員が自律的に働き方を変えるきっかけにもなったという。働き方改革を開始して2年目にはKPIを達成できたSCSKは、新たなKPIを追加してさらなる改善を目指した。

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この記事の著者

井上奈美香(HRzine編集部)(イノウエ ナミカ)

1994年宮崎県生まれ。京都女子大学文学部国文学科を2017年に卒業し、株式会社翔泳社に新卒として入社。メディア事業部の広告課に配属される。2020年8月に人事向けWebメディア「HRzine」の立ち上げに参画し、HRzineの営業責任者に従事。2023年4月よりHRzine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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