2021年の育児・介護休業法の法改正で出生時育児休業(産後パパ育休)制度が新設されたこともあり、男性労働者の育児休業に注目が集まっています。しかし、男性が育児休業を取得するためにはいくつかのハードルがあり、労務担当者にとっては喫緊の課題です。この記事では、男性が育児休業を取得する際の企業の取り組みについて、『職場問題グレーゾーンのトリセツ』の著者で社労士の村井真子氏が解説します。
訂正とお詫び
本稿で「出生育児休業」と記載しておりましたが、正しくは「出生時育児休業」でした。訂正してお詫びいたします。
HRzine編集部
男性育休が注目されている理由
男性育児休業(男性育休)とは、男性労働者が配偶者の出産ならびに育児のために取得する休業のことです。そもそも、育児休業は女性のみならず、男性にも保障された権利ですが、男性の取得率の伸び悩みや、女性のスムーズな職場復帰の難しさを解消するために、2021年に出生時育児休業制度が創設されました。この制度は、育児休業制度とは別に、出産予定日、または出産日のいずれか遅いほうから8週間の期間内に最大4週間の休業を取得できるというものです。出産した女性が産後休業を取得する期間に、男性の休業も促す目的で創設されています。
出生時育児休業制度と育児休業制度の違い
- 出生時育児休業制度:育児休業制度とは別に子の出生後8週間以内で取得できる休業制度。主に男性が取得することを想定しており、休業期間中に就労することも可能
- 育児休業制度:原則子が1歳(最長2歳)まで取得することが出来る休業制度。男女ともに取得可能で、休業期間中の就労は原則として認められていない。
こうした政府の動きを受け、企業は男性育児休業の取得促進に取り組んでいます。しかし、筆者の見る範囲ではその取り組みの度合いにはグラデーションがあるように感じられます。
企業の本当の課題とは
男性育児休業に取り組む理由は、従業員の「福利厚生の充実」のみだと思っている企業が多いのではないでしょうか。もちろん、その側面もありますが、男性育児休業に取り組む最大の効果は、人材戦略に活かせることだと筆者は考えています。男性が育児休業を取得できる環境かどうかは、従業員の採用・定着に大きな影響があるからです。
男性育児休業の取得促進に関するセミナーでは、ほぼ必ず、参加企業から「代替人員が手配できない」という相談が寄せられます。しかし、筆者が「では、女性従業員も育児休業が取れないのですか」と聞くと、ほとんどの企業がそうではないと答えます。ということは、仕事の回し方さえ変えていけば、男性も育児休業は取得できるはずです。もちろん、女性も取れていないのであれば、根本的な業務量の配分やマネジメントを見直す必要があるでしょう。
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村井 真子(ムライ マサコ)
社会保険労務士、キャリアコンサルタント。家業である総合士業事務所で経験を積み、2014 年、愛知県豊橋市にて独立開業。中小企業庁、労働局、年金事務所等での行政協力業務を経験。あいち産業振興機構外部専門家。地方中小企業の企業理念を人事育成に落とし込んだ人事評価制度の構築、組織設計が強み。現在の関与先 160 社超。移...
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