リクルートマネジメントソリューションズは、企業に勤める一般社員、主任・係長クラスの正社員3708名に対し、「一般社員の会社・職場・仕事に関する意識調査」を実施。今回は、調査結果から見える「働く人のモチベーション・リソース(モチベーションの源泉)」や「モチベーション・リソースが仕事へのエンゲージメントに与える影響」などを公表した。
働くうえでは「安定」を重視している人が多い
まず、同社は先行研究やデータをもとに、働くうえで重視するものや実現したいこと(志向・欲求)を「統率」「挑戦」「創造」「専門性」「貢献」「親和」「安定」「金銭」「承認」「注目」の10種類に分類し、「モチベーション・リソース」と名付けた。
このモチベーション・リソースについて調べたところ、働くうえでは、「安定」(53%)と「金銭」(41%)の出現率が高いことが分かった。とくに、「安定」の出現率が高く、今回の回答者は安定的な職場や処遇のもと、落ち着いた環境で働けることを重視している人が多いことが分かった。
次に、年代別にモチベーション・リソースの出現率を見たところ、年代が上がるにつれて「創造」「専門性」の出現率は高くなり、「親和」「承認」「注目」の出現率は低くなる傾向があった。同社は、育った時代の違いなどもあるため一概にはいえないとしつつも、年齢を重ねるにつれて周囲からの承認・注目や、周囲との一体感を求める気持ちが減り、代わりに自分なりの専門性を確立してクリエイティビティを発揮したいといった欲求が強くなるのではと推察している。
さらに細かく分析をしたところ、転職回数が増えるにつれて、「専門性」「安定」の出現率が高くなることが分かった。とくに、「専門性」は、4回以上転職している人の出現率が跳ね上がっており、転職を重ねる人ほどプロフェッショナル志向が高いことが明らかになった。
モチベーション・リソースと現在の仕事がフィットしていない人は3割以上
次に、「あなたが現在担当している仕事が、モチベーション・リソースの項目にどれくらい当てはまると感じるか」と質問し、その回答と働くうえで選択したモチベーション・リソースをかけあわせて分析した。個人のモチベーション・リソースの上位3つが、現在の仕事の特徴に「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」と答えている場合は、「フィット数1」と数え、フィット数の最多は3つ、最少はゼロとなる。
その結果、現在の仕事の特徴が自分のモチベーション・リソースの上位3つとフィットしていない人は35.5%であった
年代別で見たところ、フィット数3個の割合は20代(18.8%)が最も多く、フィット数がゼロなのは40代(39.0%)・50代(37.7%)が多いという結果となった。
項目でなくフィット数が仕事へのエンゲージメントに影響している
最後に、モチベーション・リソースと仕事の特徴のフィット数が仕事へのエンゲージメントに与える影響を調べた。モチベーション・リソースにフィットした仕事に従事していると、仕事へのエンゲージメントが高まる可能性があることが示唆された。
一方で、同調査の全体傾向からは、特定のモチベーション・リソースと仕事へのエンゲージメントの関係性は見られなかったという。モチベーション・リソースが仕事へのエンゲージメントを高めているのではなく、モチベーション・リソースと現在の仕事のフィット度がエンゲージメントを高めているのではないかと考えられると同社は述べている。
なお、同調査の概要は次図のとおり。
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