新卒採用支援を手がけるRECCOOは、25卒学生1027名を対象に、就職活動に関するアンケート調査を実施。その結果を発表した。調査概要は次のとおり。
【25卒学生10月就活動向調査概要】
- 調査対象者:2025年度卒業予定学生
- 対象エリア:全国
- 有効回答数:1027件
- 調査手法 :Webアンケート
- 調査時期 :2023年10月1日〜10月17日
- 調査機関 :株式会社RECCOO
今回の調査で特徴的だったのは次の3点だったという。
- 6割超がキャリア選択で「安定性」を重視。24卒から18.8ポイント増加
- 就活におけるタイパ、約6割が「就活で意識している」と回答
- 就活開始時期、6割弱が「大学3年4月」までに開始。就活早期化が続く
これらの点について、RECCOOは以下のように分析している。
6割超がキャリア選択で「安定性」を重視
25卒学生1027名にキャリア選択で重視することを聞いたところ、62.2%が「業界/企業の安定性が高い」を選択するという結果になった。24卒と比較すると18.8ポイントと大幅に増加している。
また、志望する企業規模について聞くと、83.0%が第一志望として「大手企業」を選択。大手企業を志望する理由として、「安定」を挙げた学生は半数以上にのぼった。その理由には「日々生活していくため」「老後の生活に備えるため」といった現実的なものが多く見られる。企業の財務基盤がしっかりしていることが必須だと考えるのは、人生のすべての時間を、バブル崩壊後の「失われた30年」の中で過ごしてきた就活生ならではといえる。
また、25卒学生はコロナ禍のほか、ウクライナや中東地域での戦争など、社会情勢の変化による経済的影響を目の当たりにした世代でもある。こうした影響を軽減する意味でも、多地域で幅広い事業展開をしている大手企業に安定性を感じていると想定される。
就活におけるタイパ、約6割が「就活で意識している」と回答
就活において「タイパ(タイムパフォーマンス)」を意識しているかを聞いたところ、61.1%が「意識している」と回答した。
【学生の声】タイパに関するエピソード
- 自分が重視する情報の収集には時間をかけるが、あまり重視していないものについては必要以上に時間をかけない
- 就活のためだけにやらなくてはいけないことには時間をかけない
- 時間がかかるES作成を効率的に進めるため、汎用性の高い項目は使い回せるようにまとめておく
学生の回答から、「タイパを意識する」とは、就活の全プロセスに関してまんべんなく効率化を図っていくのではなく、時間をかける領域とかけない領域の線引きを明確にすることを指していることが分かる。
また、「タイパ意識」は夏インターンシップ参加の意思決定にも影響しているもよう。非志望業界/企業の夏インターンシップへの参加について聞くと、実際に参加したのは55.7%にとどまった。24卒(89.2%)と比較すると、33.5ポイントも減少している。志望していない業界や企業には見切りをつけ、時間をかけない学生が増えていることが見て取れる。
なお、「参加した」と回答した55.7%の学生に参加理由を聞いたところ、「選考の対策になりそう(42.1%)」が最多だった。このほか、「スキルが身につきそう/成長できそう(23.3%)」や「本選考に直結している(13.0%)」なども上位にランクインしている。これらの回答からは、自分の成長にとってポジティブな影響がある、優遇が受けられるなど、何かしらメリットがあることを重視していることがうかがえる。
「自分にとって意味があるものであれば時間をかける」というタイパ意識は、参加理由からも読み取れる。
就活開始時期、6割弱が「大学3年4月」までに開始
就活を開始した時期について聞いたところ、56.9%が「大学3年4月」までに開始したと回答。24卒と比較すると6.5ポイント増加しており、早期に始める学生が増えている。
6月には9割以上の学生が就活を開始していることから、夏インターンシップのエントリーが増える時期に合わせて、ほとんどの学生が就活を開始しているといえる。
また、2023年10月現在の就活の状況を聞いたところ、「まだ企業と接点を持っていない」と回答した割合は、24卒(16.3%)から半減して8.9%という結果に。さらに、内定/内々定をもらった学生は5.6%にのぼり、24卒(2.4%)と比較して就活の進捗も早いことが分かる。
【学生の声】就活開始のタイミング
- 明確に早く動き出そうと思って始めたわけではなかったが、先輩のアドバイスを受けて始めたら、結果的に早めの動き出しになった
- 就活を開始するタイミングは、早いに越したことはないと思う。元々のスペックに関わらず、早く動いている方がノウハウも蓄積でき、上手く進められると思う
- LINEオープンチャットで、外資コンサル志望者など、すでに多くの学生が就活を始めていることを知り、自分は遅れていると思って焦った
先輩の経験談のほか、外資系コンサル志望で動き出しの早い学生の影響を受けて、就活を始める動きが見られる。外資コンサルなど、選考時期が早い企業に合わせて動く学生が一定数いることにより、他の学生もその影響を受けて早めに就活を始めるという構図ができているようだ。
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