ワークデイは、国内におけるHRモダナイゼーションの実態に関する調査結果を発表した。
同調査は、経済産業省が2020年に公表した「人材版伊藤レポート」を契機に重要性が再認識されている「人的資本経営」の実現に向けて、日本企業の取り組み状況を定量的に把握することを目的に実施されたもの。
人事変革に取り組む企業は約半数、しかし成果があると回答した企業は14%
従業員1000名以上の日本企業の人事部門に変革への取り組み状況について調査したところ、変革に「取り組んでいる」企業は全体の約半数に上るものの、そのうち「成果がある」と回答した企業はわずか14%にとどまった。また、「変革を推進する予定がない」と回答した企業は53%に達しており、変革の必要性に対する認識不足が課題であることがうかがえる。
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人事変革を推進しているにも関わらず成果が出ていない企業の課題
「人事変革を推進しているが、その成果が出ていない」と回答した企業が推進上の課題として挙げたのは、「変革を推進する人材不足」が39%で最も多く、次いで「マネジメントの強いリーダーシップ不足」が37%と続いた。
また、「人事変革の前提となる経営・事業戦略があいまい」が30%、「人事変革を推進できる組織体制になっていない」が21%など、専門性をもってトップダウンで力強く変革を進めるリーダーシップや、遂行する専門体制が欠落していることも原因となっているという。
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人事変革の成果がある企業は、強固な人事リーダーシップに加え、HRBPの専門組織を設置し、効果的に機能
上記の結果から、人事変革の成果を出していない企業では、多くの場合、リーダーシップの不在や、取り組みを主導する専門組織の未整備といった「組織・体制面での課題」が背景にあることが明らかとなった。一方で、「成果がある」と回答した企業のうち、CHROあるいはそれに相当する人事領域のリーダーを設置し、CEO/社長直下に配置している企業は57%に上った。さらに「成果がある」と回答した企業のうち、HRBP(HRビジネスパートナー)の専門組織を「人事部門配下に設置している」と回答した企業は59%だった。
人事変革の成果を実現している企業の多くは、リーダーシップの適切な配置や、専門組織の構築がなされていることを示しているという。また、CHROやHRBPといった役割の明確化と専門性の強化が、人事変革の成否に大きく影響することが示唆されている。
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なお、調査の概要は次のとおり。
- 調査期間:2025年5月29日〜6月2日
- 調査方法:インターネットリサーチ
- 調査対象者:従業員1000名以上の企業の経営者、役員、会社員(課長職以上)の人事業務関係者
- 回答者数:517名
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