組織を変革する。そのためのキャリア採用
——2019年よりキャリア採用の人数が急増していますが、キャリア採用に注力するに至った理由・背景をお聞かせください。
大橋康子氏(以下、大橋) タレント・アクイジショングループは2019年に立ち上がったのですが、活動は2018年から始めていました。2018年のキャリア採用は92名で、その後毎年268名、382名、619名と増えています。それ以前もキャリア採用が全くないわけではありませんでしたが、あくまで人員補充的なものでした。
キャリア採用に力を入れるようになったのには、「会社のカルチャーを変えよう」という経営の方針が背景にあります。NECは経営陣もプロパーばかりで、同質性の高い組織。20年間上司・部下の関係が変わっていない方もいます。
しかし、2015~2017年ごろの経営が厳しい時期を経て、「会社の中から変えていかなければ」という危機感が生まれました。新しいナレッジや思考を持った方に入ってきてもらい、内側から変革していくというミッションをもって、タレント・アクイジショングループが立ち上がったというわけです。その後、2020年の中期経営計画で「2025年までにキャリア採用と新卒採用を1対1の採用人数にする」という目標が掲げられました。
——既存の社員だけでは既存のやり方から変わっていかない、という判断があったわけですね。
大橋 もちろんプロパーの社員も事業を拡大するためにがんばっているわけですが、変化の激しいこの時代において、やはり社内のアセットだけでは追いつかない部分があります。外から来た人が社内の当たり前を壊して、止まっていたビジネスプロセスを一気に動かしてくれるという狙いがありました。そういう目的があるため、採用される方のバックグラウンドも豊かで、ベンチャーや公務員などさまざまです。
桜井絵理奈氏(以下、桜井) 実際に私も大橋もキャリア採用で、全く違うカルチャーの会社から転職してきたので、入社した時には戸惑うことが多かったです。それを人事として変えていこうと取り組んできました。
——キャリア採用の取り組みを始めるにあたって、何から着手されたのですか。
大橋 最初は5名ほどの小さなチームでスタートしました。現在は23人までに拡大しています。
まず取り組んだのは「NECがキャリア採用をやっています」と、市場に広く伝えることでした。そもそもキャリア採用をやっていると知られていないことが問題だったので、転職専用の媒体に限らずいろいろなメディアに出していきました。
その際、NECが「変わろうとしている」ことも強くアピールしました。NECにはどうしてもトラディショナルカンパニーとしてのイメージがあります。それを払拭して、たとえばベンチャー企業出身の転職希望者にも「私も大丈夫だ」と思ってもらい選択肢に入れてもらう。さらにいえば、「その変革に私も参画したい」と思ってもらうことが重要でした。