今回お話を聞いた人事はこちら
北田 かおり(きただ かおり)氏
SG グループ株式会社 コーポレート部 グループ人事課 主任
2018年に株式会社サウンズグッドに入社。メディカル事業部で派遣スタッフの採用業務を一通り経験後、SGグループ株式会社のグループ人事課に異動。カオナビの運用や人事評価制度の見直し・運用を担当している。カオナビのユーザー主催企画「もくもく会」では運営メンバーとして参加。特技は手話。
松原 輝(まつばら ひかる)氏
株式会社ウィルグループ 人事本部 人材開発部 マネージャー
高校卒業後、自動車整備業を経て航空物流会社へ。その後、ウィルグループに転職し、食品工場において組織マネジメントを経験。中途採用組織の立ち上げを経て現在は、人材開発部でタレントマネジメントを軸にサクセッションプランや異動配置を担当。
戸城 将太(としろ しょうた)氏
株式会社ウィルグループ 人事本部 人材開発部 マネージャー
新卒入社後、コールセンター事業部にて活躍を重ね、ステップアップ後は派遣営業部の支店長を務める。その後、事務派遣領域、製造領域の事業部でのマネジメントも経験し、2020年より人事本部に異動。現在は人材開発部のマネージャーとして、ウィルグループ全体の人材開発・組織開発に取り組む。
油谷 雅之(ゆたに まさゆき)氏
スミセイ情報システム株式会社 人材開発本部 人材開発部長
新卒入社後、企業保険システム部にて住友生命の企業保険システムの開発・保守を担当。アプリケーションエンジニア、プロジェクトマネージャーとして経験を積み、2021年より人材開発部に異動。現在はマネージャーとして、社内の採用・研修の企画・運営に取り組む。
Q1 従業員の離職防止や定着率向上の取り組みを教えてください。
北田氏 当社では、パルスサーベイを毎月実施しています。これは、以前行っていた“雑”談と“相”談を行うための「ざっそうタイム」の代わりに導入しました。
ざっそうタイムの導入前は、拠点が全国各地にあり、かつ入社後すぐにOJTに入るため、人事は中途社員の様子を把握しにくい状況でした。そこで、人事が状況を把握して先手を打つために開始したのがざっそうタイムです。入社から1ヵ月、3ヵ月、5ヵ月のタイミングで、いわゆる1on1を実施していました。
これにより、中途社員のガス抜きを行い、所属メンバーとのコミュニケーションのすれ違いも回避できるようになりました。一方で、中途採用に力を入れていることや、5ヵ月後以降も続けてほしいという要望が多かったため、人事担当のリソース不足という課題が出てくるようになったのです。
そこで、代わりの施策として導入したのが、毎月のパルスサーベイです。昨年の9月からは新入社員のみではなく、全従業員を対象として行うようになりました。社員だけでなくアルバイトスタッフにもパルスサーベイを実施しています。
松原氏 ウィルグループでは、大きく分けて、ピープルアナリティクス、研修、制度、対話の4つの領域で取り組みを行っています。
まず、ピープルアナリティクスでは、退職分析に力を入れています。過去の退職者を雇用区分や在籍期間などのセグメントで分けたうえで、性格特性に合わせた分類のモデルを構築。退職時に本人へのアンケートや部門へのヒアリングで集めている退職理由と掛け合わせて発生しやすい事象を想定し、フォロー案の作成などに活用していこうと考えています。また、後述しているリテンションアンケートとともに、業務の問題点を具体的に分析しています。
戸城氏 研修では、入社時研修やキャリア研修のほか、チームビルディングやウェルビーイング、コーチングにまつわるものまで幅広く実施しています。中でも弊社独自といえるのは、「活躍マップ」の作成です。活躍マップは、新入社員の早期活躍支援を目的に、1年間どんな取り組みをして成長してもらうのかを可視化したものです。不安を持って入社する新入社員に会社が期待していることを伝えることで、自分の目指すべき方向が分かり、安心して業務をスタートしてもらえるようになりました。
松原氏 制度で力を入れているのは、「手挙げ制度」と呼んでいる、社内公募やFA(フリーエージェント)制度によるキャリア開発です。「社内でのキャリアを考えられない」という状況は離職につながりがちです。弊社では、入社半年以上、入社5年以上と社歴ごとに応募可能な制度を分けることで、個々のキャリア支援とともに退職抑止を狙っています。これまでに応募した人の中には、「転職を考えていた」と話す人もいました。社内でキャリアを広げる機会を提供できたことが、退職抑止につながっていると考えています。
最後の対話では、1on1のほか、部を飛び越えて行う「クロス1on1」を実施しています。上司との1on1はどうしても業務の話が多くなりがちで、キャリアに関する悩みなど、業務以外の話はしにくいとの考えから、クロス1on1を始めました。とくに、同性の社員への相談がしやすくなったようで、女性社員同士によるキャリアに関する1on1がよく行われています。
油谷氏 弊社では毎年、全社員に職務申告書を提出してもらっています。その内容をもとに、異動希望などを人事部が把握し、人事異動を含めたキャリア形成支援を実施しています。
ほかにも、所属上長とメンバーで1on1を実施したり、研修時の情報や3年サイクルで全社員と行う人事面談の情報を各部署・人事部門で共有したりしています。
とくに、1on1は部下の「内省支援」の場と位置付けています。そのため、上長には部下の内省を深めるスキルや、部下の課題の見立て方をトレーニングしてもらっています。面談後は、タレントマネジメントシステムに面談記録を入力し、上長と人事が情報共有をして認識の齟齬なく部下のキャリア形成を支援できるようにしました。