なぜいま新卒採用が難しくなっているのか
就活ルールが大きく変化
採用活動をめぐる環境は年々変化しており、企業にとっても素早く状況を把握し、対策を講じることが必要になっています。ここ数年で特に大きいのが、次に挙げる2つの就職活動のルール変更でしょう。
- 2021年卒以降、経団連に代わって政府主導で就活スケジュールが示されるようになった
- 2022年の三省合意により、特定の要件を満たすインターンシップでは、その中で得た学生情報を採用活動に利用できるようになった
とりわけ2により、企業は3月のエントリーに向けた母集団形成のための冬期インターンシップより、「採用直結型」で採用選考を早期に行うための夏期インターンシップに比重を置くようになりました。このために、前年度の採用が終了していない中で、次年度の採用活動を本格的に開始していく必要が出てきました。
学生が企業を選ぶときの基準が変化
就活ルールの変化に合わせて各社が採用活動スタイルを変化させた結果、学生側の企業の選び方にも変化が生じています。
内定承諾の最終的な理由のトップは、2020年卒以降「社員や社風が魅力的である」でしたが、2023年卒を境に「自分のやりたい仕事(職種)ができる」に変わっています。
また、企業を応募したきっかけとして「希望する勤務地で働けそうだから」は、2017年卒以来横ばいで推移しており、学生側の勤務地への意識は変わっていないと考えられますが、採用時に職種や勤務地を確約する企業が出現し、職種や勤務地が選べない(いわゆる「配属ガチャ」)よりも、職種や勤務地が確約される前提の中で、より社員・社風が魅力的な企業を選べるほうが、学生がより納得感のある意思決定をしやすくなっているようです。
このように、競争環境の変化は学生の意思決定のスタイルにも影響を及ぼすため、「学生が持つ自社のイメージ」「他社ではなく自社を選ぶ魅力は何か」を常に明らかにし、意図して魅力を強化していくことの重要性は増してきているといえます。