「すごく難しい」KPI設定 小金氏が考える最重要KPIとは
Q7:組織開発のKPIは何ですか?
7つ目の質問は、組織開発のKPIをどう設定するか。小金氏は、この問いに答えるのは「すごく難しい」と述べる。
「組織開発の目的・ゴールをどこに置くかで変わりますし、変数も多い。何か手を打ったときに、効果が見えるまでの時間差もあります。ただ、ウォリックの組織開発の定義に基づくと、KGI(重要目標達成指標)は『組織力』、KSF(重要成功要因)は『健全性・効果性・自己革新力』、KPI(重要業績評価指標)は『多様性や心理的安全性をはじめとするさまざまな項目』が想定されます。ここでも、対話と合意形成を重ねて、関係者で何が大事かを決めていく必要があるのです」(小金氏)
小金氏の場合、「『仲間』が増えていること」を最重要なKPIと位置付けている。組織開発ができる人、組織開発に取り組んでくれる人、組織開発に協力してくれる人、すべてが仲間であり、そうした人が増えることが大事であると述べた。
「愛され力」も必要⁈ 組織開発に必要なスキルとは
Q8:内部の実践者に必要なスキルは何ですか?
8つ目は、組織開発に必要なスキルに関する質問だ。「組織開発は本当にいろいろなスキルが活かされる仕事です」と小金氏は、コミュニケーション、思考力、可視化スキル、ビジネススキル、経験、経験学習力、マインド、タフネス、愛され力といったグループに分けられるさまざまなスキルを列挙。とはいえ、全部が必要なわけでも、1つひとつが専門レベルに達している必要があるわけでもないという。
「自分もまったくできていないことを含めて挙げています。そのくらい、組織開発にはさまざまなスキルが活かされるということです。こうしたスキルを、なるべく多く、薄く広く備えていると組織開発は進めやすいと思っています。ある意味、器用貧乏な人のほうが向いている仕事だといえます。個人的に、内部の実践者のロールモデルは、王様に仕えながら王様以上に国の今後を考え、やれることは全部やる『宮廷道化師』のような役割とイメージしています(笑)」(小金氏)
Q9:組織開発に取り組む上で意識していることは何ですか?
最後の質問は、組織開発に取り組む際に意識していることだ。小金氏は、本講演で紹介したことを交え、「内部の実践者にまつわる10のキーワード」(次図)を紹介した。これらを常に頭の中に浮かべて打ち手を実行していくのだという。
10個目の「仲間を増やす」について小金氏は、「たんぽぽの綿帽子」のようなイメージを持っているという。組織開発というテーマが、風に吹かれて飛んでいくたんぽぽの種のように広がって、社内外に取り組む仲間が増えていく。今回のセッションもそんな機会になっているとうれしいと話した。
最後に小金氏は、「組織開発は最高に面白い仕事であり、一部の専門家や専門チームの仕事ではなく、組織に所属する全員の仕事なので、興味を持った人からどんどん取り組んでほしいです」と呼びかけ、講演を締めくくった。