評価制度は大きな転換点を迎えている
1990年代から普及が進んできた評価制度は、半年間ないしは1年間の期間中の目標達成状況を観察・測定するMBO(management by objectives 目標管理)を土台とし、360度評価やコンピテンシー評価などの新しいスパイスを加えながらも四半世紀近くはその姿を大きく変えずに来ました。
しかし、2015年頃から米国企業を中心に、評価制度の在り方を根本から見直す動きが顕著になっています。
先行事例として挙げられ、研究されている企業としてAdobe社、GE社の名前を様々なメディアで目にしますが、どちらにも共通することは「半年間・1年間といった長期スパンで評価サイクルを回すことを止め、短期間で評価とフィードバックをきめ細かく実施する」という点です。評価フィードバックの頻度を短期間(リアルタイム)にすることは社員の行動変容の適時性を高めるため、評価制度の本来の目的(事業目標を達成するために社員のパフォーマンスを最大化する)に沿った望ましい変化と言えるでしょう。
このような評価制度を抜本的に見直す動きは今後日本でも大きな潮流となっていくはずです。「給与額を決めるために後付でやっている」と揶揄されるような形式的な評価制度を捨て、企業の事業目標達成/社員のパフォーマンス向上/社員の意欲向上/社員の成長をドライブする本質的な制度を作り上げる好機が到来しているのです。
今こそがエンジニアの評価制度を抜本的に見直すチャンス
評価制度の中でも、特にエンジニアの評価の難しさに悩んでいる企業は多いのではないでしょうか。エンジニアには、営業のように売上や利益といった客観的な指標があるわけではありません。受託開発のモデルであれば利益額を指標とすることもできますが、自社プロダクトの場合は売上・利益はビジネスサイドに左右される面が否めず、そもそも新規プロダクト開発の場合には売上・利益自体がまだ存在しません。プロジェクトが計画通りに進みコストが予算内に収まっているかだけで評価するのもまた妥当性に欠けます。