「下剋上採用」とは
本記事のタイトルに「知名度はない・規模は小さいけれど“勝つ”企業はここが違う」と掲げたとおり、採用は明らかに他社との競争です。また採用は、育成・配置・評価制度などの他の人事施策とは少し毛色が違います。それは採用だけが「まだ見ぬ誰かを外部市場から獲得する」未来志向の活動であるからです。
人災は、外部市場で競合他社と競い、勝って初めて獲得できます。しかし、昨今の日本の採用市場を見ると、その競争に勝つことがいかに難しいかが分かります。たとえば、2024年現在でも新卒採用の求人倍率は1.75倍と高く[1]、中途採用の求人倍率に至っては7月時点で2.74倍にもなっています[2]。
このような状況下、地方企業であったり、知名度がなかったり、企業規模が小さかったり、採用コストがかけられなかったりと、活動前からさまざまなハンデを負っている企業にとって、人材獲得は本当に至難の業です。
そのうえ、採用においては「自分たちより優秀なやつを採れ」とよくいわれます。現状維持は緩やかな衰退であり、今後の企業成長を望むなら採用でも背伸びし続けることが欠かせないからです。採用にハンデを負っているからといって、いまの自分たちの採用ブランド力に甘んじ、待っていてもやってくる人材だけを採用していては、自社の人材レベルは少しずつ下がり、企業のレベルも下がっていくでしょう。
では、採用にハンデを負った企業が自分たちよりも知名度があり、企業規模も大きく、採用コストもかけられる企業に勝つ——つまり、通常であればもっとブランドのある人気企業に内定をもらい入社を決めるような優秀な人材を、こちらに振り向かせて採用するにはどうすればよいのでしょうか。
本連載ではこうした採用を「下剋上採用」と呼び、その手段を解説していきます!