SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

HRzine Day(エイチアールジン・デイ)は、人が活き会社が成長する人事のWebマガジン「HRzine」が主催するイベントです。毎回、人事の重要課題を1つテーマに設定し、識者やエキスパードが持つ知見・経験を、参加者のみなさんと共有しています。

直近開催のイベントはこちら!

HRzine×SmartHR 人材・組織活性化フォーラム

2024年12月6日(金)13:00~15:30

主要製品スペック一覧

人事業務の効率・確度・精度を高めるために欠かせないHRテクノロジー。その主な製品の機能を分野ごとに比較できる資料群です。製品検討の参考資料としてご活用ください。

eラーニング・LMS<br>主要製品スペック一覧 2024

eラーニング・LMS
主要製品スペック一覧 2024

その他のスペック一覧

人事労務管理システム<br>主要製品スペック一覧 2023

人事労務管理システム
主要製品スペック一覧 2023

タレントマネジメントシステム<br>主要製品スペック一覧 2023

タレントマネジメントシステム
主要製品スペック一覧 2023

特別寄稿《組織やチームの編成・運営》| DE&I

DE&Iは組織の持続可能性と競争力を高める戦略的アプローチ 先立つ組織状態の可視化における3ポイント

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena

DE&Iに関する課題を把握するときの3つのポイント

 実際にインクルーシブな組織をつくっていくにはどうすればよいのだろうか。星加教授は、DE&Iを進めるうえで組織状態を可視化することの重要性と課題について、次のように指摘する。

 「DE&Iを推進するうえでは、1人ひとりの心がけはもちろん大事ですが、1人の考え方に着目するのではなく、文化や風土を含む組織全体での変革を考えていくことが重要です。

 これを具体化していくためには、まず組織の現状をきちんと可視化し、多くの人が客観的に参照できる状況をつくる必要があります。そうすることで課題把握の解像度を上げ、具体的かつ細やかに効果的な施策を当てはめていくことが可能になります。

 また、中長期的な視点で見ると、いまやっている施策が意味のあることなのか、あるいは続けていくことが望ましいのかについて、モニタリングアセスメントをしなければいけません。そのためにも、組織状況を的確に可視化するような共通の枠組みというものを持っておくことが重要です。

 しかし、DE&Iという領域においては、組織状態を評価する仕組みがまだまだ未整備であることが大きな課題です」(星加教授)

 こうした中、星加教授は日本ケアフィット共育機構と共同で、DE&Iにまつわる組織課題を可視化するツール「インクルーシブ・トランスフォーメーション(IX)診断」を開発した。星加教授は、IX診断にも反映させている3つのポイントが、課題を可視化するうえでは重要だと指摘する。

[画像クリックで拡大表示]

包括的・多元的な診断

 「まずは、DE&Iに関して制度、文化、実践(取り組みの進展度合い)などのレイヤーで評価し、包括的に把握することが重要です。注意点としては、各レイヤーの評価を単純に足した総合点で組織状態を評価してはいけないということです。IX診断においても、個別の要素ごとに評価を行い、それぞれが満たされたときに初めて総合評価が向上する多元的な仕組みが取られています。そうすることで、より組織の各部門や文化の違いを考慮し、より具体的な改善が可能となります」(星加教授)

客観指標と主観指標の併用

 「構成メンバーの多様性といった数値として把握可能な『客観指標』だけではなく、実際に組織で働く人がどのように感じているかという『主観指標』も重要です。DE&I担当者がどれだけ取り組みを進めても、メンバーには届いていないということはよく発生します。そのため、IX診断においても担当者向けに44項目、従業員向けに96項目の設問を設定することで、客観指標と主観指標の双方から評価する形を取っています」(星加教授)

4つの評価尺度と組織内ギャップ

 「先ほど包括的・多元的な評価が重要だとお伝えしましたが、より具体的には、『インクルーシブパーパス経営』『インクルーシブ職場環境』『インクルーシブ認知基盤』『インクルーシブ組織風土』という4つの尺度評価と、『多様性ギャップ』という視点を加えた5つの観点から組織を評価できます。

 1つ目の「インクルーシブパーパス経営」は、組織の理念やパーパスが、きちんとインクルーシブな形になっているかという視点です。

 2つ目の「インクルーシブ職場環境」は、実際にその組織の中の制度や仕組み、実際の取り組みがどの程度インクルーシブになっているのかという視点。

 3つ目の「インクルーシブ認知基盤」は、組織を構成しているメンバーの考え方や価値観、マインドセットがインクルーシブなものになっているかのかという指標です。

 4つ目の「インクルーシブ組織風土」は、職場で重んじられている文化や風土を評価する指標です。組織においては、個人としての価値観だけではなく会社が持つ価値観に合わせて振る舞うことがしばしば起こりますので、職場の文化風土では何が重視されていて、どういう雰囲気で仕事ができているのかということを評価する必要があります。

[画像クリックで拡大表示]

 これら4つの評価尺度に加え、「多様性ギャップ」という視点も重要です。これは組織内の異なるメンバー間で、公正に扱われていると感じる度合いの差を評価するものです。具体的には、ジェンダー、障害の有無、国籍、年齢など、多様な背景を持つ人々が組織内でどのように感じているかを測ります。たとえば、男性は組織で居心地が良いと感じても、女性はそう感じない場合があるなど、メンバー間での認識の差異を明らかにします」(星加教授)

まとめ:DE&Iを通じた組織変革の可能性

 DE&Iの推進は、社会正義の実現や法令順守の問題にとどまらない。それは、組織の持続可能性と競争力を高める戦略的アプローチであり、DE&Iの中核的な意味合いや意義を戦略にも取り入れることが、これからの組織経営において重要なポイントといえる。

 中長期的にDE&Iに取り組んでいくうえでは、定期的に組織の現状や課題を可視化し、取り組みの効果を評価していくことが重要だ。その最初のステップである「組織状態の可視化」を進める際に、本稿で紹介した3つのポイントをぜひ活用してみてほしい。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena
特別寄稿《組織やチームの編成・運営》連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

佐藤 雄一郎(サトウ ユウイチロウ)

公益財団法人日本ケアフィット共育機構 経営企画室室長。2014年公益財団法人日本ケアフィット共育機構入構。年間1万人近く受講する"サービス介助士"の講習運営に携わる中で、ダイバーシティ&インクルージョンに関わる企業や障害当事者とのネットワークを広げ、企業の垣根を超えたコラボレーションや事業者と障害当...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena
HRzine
https://hrzine.jp/article/detail/6222 2024/11/27 08:00

Special Contents

AD

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

HRzine Day(エイチアールジン・デイ)は、人が活き会社が成長する人事のWebマガジン「HRzine」が主催するイベントです。毎回、人事の重要課題を1つテーマに設定し、識者やエキスパードが持つ知見・経験を、参加者のみなさんと共有しています。

2024年12月6日(金)13:00~15:30

イベントカレンダーを見る

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング