日本能率協会は、同協会が提供する新入社員向け公開教育セミナーの参加者を対象に、仕事や働くことに対しどのような意識をもっているか調査を行った。
上司・人事への期待は「成長や力量に対する定期的なフィードバック」
自身の成長に向けて、上司・人事へ期待することについて質問したところ、1位は「成長や力量に対する定期的なフィードバック」で22.0%、2位は「ワークライフバランスをとれる柔軟な働き方ができる環境づくり」で17.4%、3位は「キャリアや価値観・強み/弱みについての定期的な話し合い」で17.3%となった。経年別での大きな変化は見られなかった。
属性別で見ると、高校卒群に比べて高校卒外群は「成長や力量に対する定期的なフィードバック」が6.9ポイント高くなっている。なお、性別による大きな差は見られなかった。
「若いうちは進んで苦労すべき」と思う人は4割
新入社員のキャリア形成や将来についての設問にて、若いうちからの苦労について質問したところ、「進んで苦労すべきだ」は41.8%、「好んで苦労する必要はない」は36.8%、「どちらともいえない」は21.4%となった。多様な就業意識により、多くの経験を求めて自らの成長を促す人と、そうでない人の二極化が見受けられる。
属性ごとに見ると、高校卒外群は高校卒群より「進んで苦労すべきだ」」が8.1ポイント高くなった。また、女性は男性より「好んで苦労する必要はない」が19.3ポイント高くなっている。
理想の上司は「丁寧な指導をする上司・先輩」
理想的だと思う上司・先輩について聞くと、1位は「仕事について丁寧な指導をする上司・先輩」で25.5%、2位は「仕事の結果に対するねぎらい・褒め言葉を忘れない上司・先輩」で10.9%、3位は「部下の意見・要望を傾聴する上司・先輩」で10.8%。いずれの項目でも、属性別に大きな差はなかった。
なお、4位の「言動が一致している上司・先輩」は男性7.4%、女性16.1%で、2倍以上のポイント差が開いた。女性のほうが「言動が一致している上司・先輩」をより重視している傾向にあると考えられる。
新入社員が望む職場像
新入社員に働きたい職場について、5つの設問で方向性を聞いたところ、実力・成果主義/年功主義では「個人が評価され、年齢・経験に関係なく処遇される実力・成果主義の職場」が全体の72.2%、チームワーク重視/個人裁量重視では「チームワークを重視する職場」が全体の79.2%、アットホーム/ビジネスライクでは「仕事以外のことも相談できる職場」が全体の77.7%、評価軸は仕事の「量」/評価軸は仕事の「質」では「働いた仕事の“質”で評価される職場」が全体の77.0%、業務の中でスキルアップ/業務の外でスキルアップについては「苦労は多いが、確実にスキルアップできる職場」が全体の66.0%となった。
5つの設問の結果を踏まえると、新入社員が望む職場像は「成果や仕事の質で評価されることを望みつつ、チームワーク重視、仕事以外のことも相談でき、スキルアップもかなえられる職場」であると推察できるという。
国内転勤よりも海外転勤への抵抗感が高い
働き方に対する考え方について、「A:国内転勤は受け入れる」は69.1%、「B:国外転勤は受け入れる」は46.5%となった。
属性別に見ると、高校卒群では「A:国内転勤は受け入れる」は80.4%、「B:国外転勤は受け入れる」は40.5%で、国外転勤への受け入れが39.9ポイント低くなった。高校卒外群においても 「A:国内転勤は受け入れる」が65.4%、「B:国外転勤は受け入れる」が48.4%で、国外転勤への受け入れが低い傾向にある。
仕事上の不安は「上司・同僚とうまくやっていけるか」
仕事をしていくうえでの不安について質問すると、1位は「上司・同僚など職場の人とうまくやっていけるか」で23.2%、2位は「仕事に対する現在の自分の能力・スキル」で20.3%、3位は「仕事での失敗やミス」で10.4%となった。
属性別で見ると、「仕事に対する現在の自分の能力・スキル」は高校卒外群のほうが、「上司・同僚など職場の人とうまくやっていけるか」「仕事での失敗やミス」は高校卒群のほうがそれぞれ約5.0ポイント大きくなっている。なお、性別では大きな差は見受けられなかった。
転職を考えるシチュエーションは「職場の人間関係が悪い時」
職場で遭遇するいくつかのシチュエーションに対して、どの程度転職を考えるか質問すると、「職場の人間関係が悪い時」に、「転職を考える」が15.7%で最多となり、次いで「社風や企業文化が自分に合わないと感じたとき」が14.3%、「会社の将来性が見込めなくなったとき」が13.9%と続いた。新入社員自身での改善が難しいシチュエーションが、上位を占めていると考えられる。なお、年度別での大きな差はなかった。
1位の「職場の人間関係が悪い時」について属性別で見ると、「転職を考える」が高校卒外群より高校卒群のほうが7.2ポイント高く、男性より女性のほうが7.6ポイント高い結果となった。
10年後のキャリアまで考えている人は3割
将来のキャリアイメージについて聞いたところ、全体の61.0%が「将来のキャリアイメージを描いている」と回答した。属性別に見ると、高校卒外群は高校卒群より「将来のキャリアイメージを描いている」が24.7ポイント高くなった。
「将来のキャリアイメージを描いている」の詳細を見ると、3年先は20.8%、5年先は33.3%、10年先は32.8%となった。属性別に見ると、3年先までは高校卒群のほうが9.9ポイント高く、それ以上先の年数では高校卒外群のほうがポイントが高くなる傾向にあった。
なお、調査の概要は次のとおり。
- 調査名称:2024年度新入社員意識調査
- 調査期間:2024年4月2~5日
- 調査対象:日本能率協会の新入社員向け公開教育セミナー参加者
- 調査方法:研修実践時に記入(入力)・回収
- 回答数:673人
-
属性:
- 性別:男性427人(63.4%)、女性243人(36.1%)、その他3人(0.4%)
- 最終学歴:高校卒163人(24.2%)、高専・専門・短大卒89人(13.3%)、大学卒324人(48.1%)、大学院卒94人(14%)、その他3人(0.4%)
- 業種:製造業262人(38.9%)、非製造業411人(61.0%)
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