キンドリルが新たなカルチャーにこだわった理由とは
——まずキンドリルについて教えてください。
キンドリルは、世界最大級のITインフラサービス企業です。お客様のミッションクリティカルなシステムを運営しています。そうした重要なシステムを通じて、人類の進歩を実現していくことが私たちのビジョンです。
もともと私たちはIBMの一部門で、3年半前にスピンアウトしました。それは、私たちにとって新たなカルチャーを考える素晴らしい機会となりました。社内ではそのカルチャーを「The Kyndryl Way」と呼んでいますが、私たちの進歩の中核とする考え方となっています。

メアリージョー・シャーボネー(Maryjo Charbonnier)氏
キンドリル 最高人事責任者(CHRO)
ウォルターズ・クルワーからキンドリルに入社。大規模な企業変革における豊富な経験を生かし、キンドリルが事業を展開する60ヵ国以上において、同社が第一に選ばれる企業となるためのグローバルな取り組みを主導する。また、同社の約8万人の従業員が顧客に貢献しながらスキルとキャリアを向上できるよう、人事システムとプロセスの全面的な改革を指揮。同社の企業カルチャーである「The Kyndryl Way」の創造と推進というグローバルな取り組みも主導する。
——設立時には従業員数がすでに約8万人だったということですが、その人たちにとってカルチャーを新しくつくる必要性があったわけですね。
私たちは、カルチャーがビジネス変革の原動力になると信じていました。そこでまず、従業員に共有してもらいたいカルチャーと行動を定義することから始めました。その行動は、顧客や従業員が話してくれたことに基づいて決めたものです。そして、リーダーたちと協力して行動を定義し、私たちのカルチャーの中で従業員らに根付かせるために活動してきました。
私たちがやりたかったことは、新しい方法で顧客にサービスを提供し、成長軌道に戻るということです。顧客からは、「もっと革新的であってほしい」という声も寄せられました。そこで、私たちのカルチャーにその行動を活かしていくために、まずはリーダー全員に、次にマネージャーを、さらには従業員のトレーニングを行いました。
そして、収益計画や利益計画のように、カルチャーにも年次運営計画が必要だと考え、コミュニケーションチームやマーケティングチーム、トランスフォーメーションチームとのパートナーシップに基づいて、毎年運営計画を立てています。その計画は、私たちのCEOによって直接支援されています。
——事業を成長軌道に戻すにはカルチャーと行動の定義が必要だったということでしょうか。
私たちのビジネスの根本は、キンドリルで働く従業員がどのように考え、行動するかだと信じています。特に私たちのようなサービス会社においては、これはとても大切なことです。これによって、競合優位性が獲得できると考えています。
私たちは、「顧客にとって何が大切か」「未来に向けて何が大切か」、そして「社員にとっても何が大切か」に焦点を置きました。それをもとにカルチャーをつくってきました。