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人事にまつわる学術的なエトセトラ | #7

「高め合う組織」をつくるために必要な視点——制御焦点理論から考える「ピア効果」

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 前回では、個人のメンタルモデルの傾向性について制御焦点理論から説明をしました。併せて、職場環境や個人のキャリアの観点からどのように個人のメンタルモデルを考えるべきか、その概観もしてきました。今回は「個人間」、つまり組織としての制御焦点の影響を考えていきたいと思います。

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ピア効果とは何か

 組織論や経済学では「ピア効果」という概念があります。“ピア”とは横並びの主体同士の関係のことで、具体的には会社では同僚、スポーツや競技ではプレイヤー同士、学校では生徒同士の関係のことです。

 そしてピア効果とは、お互いがお互いにどのような影響を与えているか、その性質や程度のことを表します。

 組織行動を考察するうえでこのピア効果の重要性は自明と思いますが、経済学でもピア効果の概念を重視します[1]。その理由は効果計測の際に個々のもともとの効果以上の「何か」が生じているかどうか(専門的には“外部性”といいます)を考慮に入れる(つまり計量化する)必要がある分野だということがあります。

[1]: 有名なところではYann Bramoullé, Habiba Djebbari, Bernard Fortin“Peer Effects in Networks: A Survey”, 2020などがある。

 平易にいえば、同僚がいる場合のプラスアルファがどのくらいあるかということだと、ここでは思っていただいて結構です。この影響にはプラスもありますがマイナスの影響もあります。たとえば、ゴルフのスコアや学生の成績にどう影響するか、ライバル企業の有無はどう影響するかといった研究がなされています。

 組織論においてもグループダイナミクス、組織内の相乗効果の観点からよく議論されます。たとえば「高め合う組織」になるためにはどうすればいいのか、といった論点で議論をしたことのある方も多いかもしれません。

 ピア効果の重要性は明らかであるものの、諸学で諸説があり、明確な結論が出ていない領域でもあります。外部環境や個々の状況に依存しやすく分析自体が難しいうえ、影響の波及に複雑な経路を持つことが予想されます。あるときにうまくいった打ち手が他の場面で上手く機能しない、という経験は多くの方がお持ちではないかと思いますが、それが起こりやすい領域ともいえます。

ピア効果を制御焦点理論で考える

 とはいえ、手がかりはあります。その1つがヒギンズの制御焦点理論(regulatory focus theory)[2]であり、個人が持つ制御焦点が同僚のそれとどう影響し合うか、という観点は有力なものだろうと私は考えます。

[2]: E. Tory Higgins,“Beyond Pleasure and Pain”, 1997

 前回までの復習として、2つの制御焦点を、職場で仕事をするビジネスパーソンの文脈で私なりに整理すると、次のようになります。

2つの制御焦点

促進焦点(Promotion Focus)
  • 自分が考える理想や願望、いっそうの向上に焦点を当てる
  • 良い成果の獲得、達成を重視する
  • 探索的でリスクをとることをいとわない
  • 成功への期待が動機付けとなる
予防焦点(Prevention Focus)
  • 守るべき義務や責任、安全性に焦点を当てる
  • 損失の回避を重視する
  • 慎重で規範的な行動をとる
  • 失敗の回避が動機付けとなる

 なお、これらは優劣ではなく、その個人がどちらを強く持っているかという観点で見ます。今回は、制御焦点による同僚への影響あるいは同僚からの影響はどうか、という観点からピア効果を考察していきます。

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この記事の著者

佐々木 一寿(ササキ カズトシ)

経済評論家、作家。大手メディアグループ経済系・報道系記者/編集者、ビジネススクール研究員/出版局編集委員、民間企業研究所にて経済学、経営学、社会学、心理学、行動科学の研究に従事。著書に『KPIマネジメント』(日本経済新聞出版)など。コラムも多数。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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