採用は「情報戦」から「共感戦」へ
少子高齢化・若年人口の減少・売り手市場の定着……。企業にとって「採用」はもはや難易度の高い経営課題の1つになっています。
これまでのように求人広告を出すだけでは、なかなか人は集まりません。採用に成功している企業ほど、“情報の届け方”を戦略的に設計しています。
いまや求職者は、給与や条件だけではなく、企業の価値観や人の雰囲気、働く意味に共感できるかどうかで応募先を決めるようになりました。それを言葉にできる企業だけが、選ばれる企業となるのです。
つまり、採用活動は「情報戦」から「共感戦」へと進化しています。

共感戦を制し、選ばれる企業になるには、戦略的な「採用広報」が欠かせません。そこでは単なる募集活動にとどまらず、戦略的なマーケティング視点で自社と競合を分析し、採用ターゲットに情報を発信する設計が求められます。
そして、母集団形成から選考、内定、入社に至るまで、一連の採用コミュニケーションを最適化するためには、採用広報の戦略設計が重要になります。
採用広報とは「採用の前段階から始める広報活動」
採用広報とは、企業が求職者に対して、会社の将来性、社長の想いや人柄、企業理念、組織風土、サービスの可能性、働き方などの情報を積極的に発信し、優秀な人材を惹きつけるための広報活動です。
求人情報のような無機質な条件だけでなく、“共感とエモさ”を織り交ぜて企業のストーリーを伝えることで、求職者との関係性を築いていく。それが採用広報の本質です。
もちろん給与や福利厚生は大切ですが、それは最低限の条件に過ぎません。いまの求職者は、「この会社で、どんな仲間と、どんな目的に向かって働けるのか」といった感情面での共鳴を重視しています。
PRの視点でいえば、採用広報は「未来の仲間との信頼の土台づくり」であり、「採用活動の前段階から始まっている広報活動」でもあります。
また採用広報は、採用活動の“直前”に始めるものではありません。むしろ、もっと前から「信頼を育む」準備が必要です。SNSの発信、会社紹介のnote、社員紹介の動画……。こうした日々の積み重ねこそが、求職者との「最初の接点」をつくり出します。
さらに採用広報とは、“未来の仲間”に向けて企業の人格を伝える“ラブレター”のようなもの。だからこそ、誠実さと一貫性が求められます。