プロジェクトごとの同窓会的な催しも 多様で小さなコミュニティを活かす
高橋:イベントの参加者は、どんな期待感をお持ちなのでしょうか。
加古:一番は、登壇者への興味です。DeNAを卒業して活躍している起業家やビジネスパーソンの話を聞きたい。または、自分がいっしょに働いていたメンバーが登壇すると、気になって参加してくれます。
八森:また、オフラインの交流会も定期的に開催しています。
たとえば、定期的に「CEO会」というスタートアップの社長を集めたパーティーを開催しており、最近では40名くらいが参加しました。南場も参加して、SNSで様子を投稿してくれました。
DeNA出身CEOの会、盛り上がりました! pic.twitter.com/B74cslaWOv
— 南場智子 (@tomochinski) May 23, 2025
加古:CEOは孤独な立場にあるので、横のつながりが貴重でみなさん話が止まらない様子でしたね。
八森:役職だけでなく、部署ごとやプロジェクトごとの同窓会的な催しもあります。やはりオフラインでギュッと人が集まったときの熱気は、アルムナイコミュニティの運営において大事だなと感じています。
高橋:イベントの企画や告知はどのようにやっているのですか。
加古:毎週南場を含めた運営メンバーでミーティングをして、イベントの登壇者を決めています。告知は、登壇者の同期のコミュニティに連絡したり、南場が直接DMで連絡したりすることも多いです。
というのも、実は初回のオンラインイベントは告知が不十分で20人しか集まらず……。わざわざ時間をつくってもらっているのにとても申し訳なく、その後集客告知を徹底しました。現在は、卒業生だけでなく社内にも発信していて、毎回約50~200人は集まるようになりました。
高橋:おふたりが企画をつくるときに、心掛けていることはありますか。
加古:参加したくなる企画をつくることですね。「このメンバーが集まったら面白そう、楽しそう」という企画コンセプトや登壇者選びが重要で、そのイベントの中心となる人選は特に気を遣います。
また、私たちの場合は、やはり南場が毎回登壇し、中心に立ってくれていることの価値が大きいですね。最近ではAIが大きな注目を集めているように、旬のトピックや、社員・卒業生が今まさに知りたいことをイベントに盛り込むことで、さまざまな人が参加したいと思えるような、多様な小さなコミュニティをつくれるとよいですね。
高橋:たしかに、「誰でもよいからみんな来てね」だとなんとなく暇な人だけが集まりますし、一方で「カムバック採用」を打ち出しすぎると転職を考えている人だけが参加しているイメージを与えかねません。どう参加者を集めるのかも、活性化の肝ですね。
八森:私は、あくまで人事として、前に出過ぎず黒子に徹することを心がけています。コミュニティづくりを人事の仕事の一部としてやってしまうと、オフィシャル感が出過ぎてしまうんですよね。前に出るのは加古さんにお任せして、それぞれの役割を全うしています。
経営戦略におけるアルムナイコミュニティの位置付けは
高橋:「オフィシャル感が出過ぎないように、卒業生が楽しく」という考え方は重要な一方で、会社として予算や人員を投入するからにはアルムナイコミュニティを通じて、何かしらの価値を生み出す必要があると思います。
貴社ではアルムナイコミュニティの経営上の価値をどのように捉えていますか。
加古:アルムナイコミュニティは先述したDeNA Galaxyの一部です。DeNA社内の人も社外の人もつながって、そこからビジネスが生まれたり会社が成長したりすることを期待しています。
八森:採用ブランディングとしても、DeNA出身の起業家が各方面で活躍していることは、「次なる挑戦を求める人」にとってDeNAが魅力的な場所であることを示していると感じています。事業をつくりたい人にとって、理想的なキャリアパスに見えるのではないでしょうか。

高橋:DeNAの中に人を囲い込むのではなく、起業を積極的に応援することで、卒業後もDeNA Galaxyの一員としてつながっていけるわけですね。
八森:おっしゃるとおりです。社内で新規事業を立ち上げて、うまくいったらスピンアウトできるシステムがあります。そのキャリアパスを目指して入社する人もいて、会社としてそういった人材を激励しています。