SmartHRは6月3日に事業戦略発表会を開催。同社 代表取締役 CEO 芹澤雅人氏は、2030年の売上目標として、2025年5月現在のARR(年次経常収益)200億円から5倍の1000億円を掲げた。

そのための一手となるのが、SmartHRのクラウド人事給与基幹システムへの進化である。具体的には、「給与計算」機能をSmartHRに提供開始した。
SmartHRには従業員情報が蓄積されているほか、2025年4月には「勤怠管理」機能も実装済み。従業員情報と勤怠情報を組み合わせれば、最小限のデータ入力・連携作業で給与計算が行える。給与計算後には、給与明細や源泉徴収票の発行も可能だという。

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AIの組み込みにも注力していく。今年2月にリリースされたAI履歴書読み取り機能のほか、2025年内には「AIアシスタント」機能を提供予定。AIアシスタント機能では、AIに質問すると、事前にアップロードされた就業規則やマニュアルなどから、文脈に合った回答サマリが返される。
さらに芹澤氏は、開発を検討しているAI機能例として、次世代人材候補の抽出や最適人材の発掘・提案、スキル・希望に合致したポジションの提示を行う「AIマッチング」機能、組織課題の発見やノウハウの提供を行う「AI分析」機能を挙げた。
また、HR SaaS以外の領域にも機能を伸張する。各従業員が利用している外部サービスアカウントをSmartHR上で確認・追加・削除ができる「ID管理」機能を今年8月に提供開始する予定であるほか、SmartHRの機能強化と並行して、従業員の入退社や異動・休職に伴う情報端末の管理を代行するBPOサービスを、テクバンとの協業で開始。フリーランス・業務委託の契約・発注・稼働管理・請求を一元管理するツール「Lansmart by SmartHR」も提供する。Lansmartは、M&AによりSmartHRグループ傘下に入ったCloudBrainsが開発・提供していたプロダクトだ。
これらの施策によりSmartHRが目指すところは「人的資本経営プラットフォーム」だという芹澤氏。人事労務支援ツールからスタートしたSmartHRだが、タレントマネジメント機能や勤怠管理機能などの追加を経て、冒頭に述べたとおり基幹システムの1つにまで存在を高めようとしている。大きなシェアを持つ競合製品もある市場の中で、SmartHRがどう成長していくのか、目が離せない。
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