シリーズEラウンドについて不正確な記述があり、修正しました。【2024-07-01 編集部】
SmartHRは、7月1日に「事業戦略発表会」「新プロダクト発表会」を開催した。
事業戦略発表会では、SmartHR 代表取締役CEO 芹澤雅人氏と取締役 CFO 森雄志氏が登壇。まず森氏が、約100億円の第三者割当増資と約114億円のセカンダリー取引にて、計214億円のシリーズEラウンドの契約を締結したと発表し、主な資金使途を説明した。
「主に3つの使途に割り振る予定です。1つ目はマルチプロダクト化推進のためのプロダクト開発と営業・マーケティングへの投資強化、2つ目が新規事業開発とM&Aによる事業拡大、3つ目がAIなど技術への投資です」(森氏)
続いて芹澤氏が、同社の事業進捗と事業展開を紹介。同社が2015年にローンチしたクラウド人事労務ソフト「SmartHR」は、2023年度には労務管理市場の半数のシェアを占め、拡大傾向にあると説明。加えて、顧客の約3割がタレントマネジメントプロダクトも利用していると述べた。
「国内の人材投資領域はまだ伸びしろが大きく、タレントマネジメント市場も急成長しています。プロダクト拡大のスピード感が当社の強みの1つだと考えており、先行プレイヤーに後れをとらないよう成長を続けていきたい」(芹澤氏)
また、今後の事業展開としては、「人事労務」「情シス」「プラットフォーム」「従業員」の4つの領域に注力するという。
「人事労務だけでなく、バックオフィス全体に事業領域を拡大します。これまでSmartHRがカバーできていなかった勤怠管理などの人事労務領域にも力を入れながら、タレントマネジメントと連携することで一気通貫型のアプローチを実現したい。従業員データを中心に、すべての業務がつながるような世界観を目指しています」(芹澤氏)
なお、情シス領域へのユースケース拡大に向けて、柔軟な権限設定と、雇用形態別の課金プランの提供を2025年に予定しているという。
続く新プロダクト発表会では、SmartHR CPO 安達隆氏、プロダクトマーケティングマネージャー 重松裕三氏、新規事業(勤怠領域)の事業責任者 北崎康太氏が登壇。
まず安達氏が、今年中に計8個の新規プロダクトを提供予定だと発表した。これらは、同社が2023年から掲げるマルチプロダクト戦略の一環で、2024年上半期には、すでに「キャリア台帳」「学習管理」「HRアナリティクス」「データ連携」の4機能をリリースしていると安達氏は説明した。
続いて、2024年下半期にリリース予定の「採用管理」「従業員ポータル」「ID管理」の3つの機能について、重松氏が発表。特に先週リリースした採用管理機能にて、採用前の段階からデータを集められるようになったと重松氏は強調した。
「採用担当者は、8割以上が他業務と兼務していることが分かっています。採用業務を効率化しようとしても、リソースが少なく、ツールの導入はハードルが高い。SmartHRでは労務管理といっしょに導入でき、データの接続が容易なため業務効率化ができるのが強みです。今後は、タレントマネジメントシステムとも接続することで、業務効率化にとどまらずに企業の採用活動を支援できる機能を目指したいと考えています」(重松氏)
なお、従業員ポータルは今秋、ID管理(IdP機能)は今夏リリース予定。ID管理(IdP機能)の基本機能は無料で利用が可能だという。
最後に北崎氏が、「勤怠管理」機能について紹介。すでに成熟した勤怠管理市場において、同社が3月に実施したアンケートでは、満足度が平均5.5点(10点満点)だったとし、マスタ管理や締め作業の煩雑さといった課題を解消できるようなプロダクトで優位性を持つと述べた。
「勤怠管理にはポジティブなイメージを持っている人は少ないのではないでしょうか。それは、勤怠管理特有の煩雑さや専門用語といった近寄りがたさにあると考えています。本来、勤怠管理は働くすべての人が健康に配慮しながら、仕事に集中できる働き方ができているか管理して改善を図るためのもの。勤怠管理機能を通して、すべての人の働き方をアップグレードしていくシステムを提供したいと思います」(北崎氏)
なお、勤怠管理機能は今年中に既存顧客に向けてリリースを行うといい、新規顧客への提供は来年を予定しているという。
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