双方向マッチングで実現する最適配置
社内版ビズリーチには、社員と企業側とをつなぐ2つのマッチング機能が備わっている。それが「タレント検索」と「社内公募ポジションのレコメンド」だ。
「タレント検索」は、あるポジションに対して、社員のレジュメ情報をもとに「このスキルや経験を持つ人材が適任ではないか」と、自動的に社内候補を抽出する機能。一方の「社内公募ポジションのレコメンド」は、社員1人ひとりに対して、「あなたのスキルにマッチする社内ポジションはこれかもしれません」と提示する仕組みだ。
社員にとってはキャリアの選択肢を広げるきっかけになり、企業側にとっては納得感ある異動・配置の説明材料として活用できるなど、双方向からのアプローチが可能になっている。
では実際に、企業での活用事例を2つ紹介しよう。
事例①:プロジェクトアサインの最適化
あるSI企業では、プロジェクトごとの人材アサインが属人的になりがちで、「最適な人材を配置できているのか」「プロジェクトの質が落ちていないか」といった悩みを抱えていた。
社内版ビズリーチを導入し、まずは人材データを一元管理。「最適なアサイン」を上位目的に据え、データベースの設計や職務・スキル要件の定義を進めた。その結果、プロジェクトごとの要件にマッチした人材をシステムが自動で提示するようになり、データに基づいた最適なアサインが実現できるようになった。

事例②:事業戦略と人事戦略の連動
人的資本経営が注目される中、事業戦略と人事戦略の連携は欠かせないテーマとなっている。
ある企業では、「どのような仕事が戦略推進に必要か」「それに見合ったポジションは社内に存在するか」を明らかにするため、まずは職務要件をデータとして定義。これに対応するスキルや経験を持つ社員情報をレジュメとして可視化した。
ポイントは、目標・評価などの更新されやすいデータを活用することで、常に最新の状態が保たれる設計にしたこと。これにより、属人的な判断に頼らず、戦略人材の発掘や育成、異動・配置が可能となった。

では最後に、今回の要点をあらためて整理しておこう。
近年、多くの企業が人事データの整備や活用に乗り出しているものの、「最適配置」を実現できている企業は、まだごくわずかである。
社員のスキルや経験、そしてポジションの情報を“見える化”することは、あくまで出発点に過ぎない。両者をいかに“簡便にマッチングできるか”。その仕組みを、一元化された基盤の上にどう構築するかが、今後の人事戦略において重要な鍵となる。
「本講演で紹介した取り組みが、皆さんの現場での人材マネジメントに活かされるきっかけになればうれしいです。ご関心があれば、ぜひお気軽にご相談ください」(花岡氏)